生理前から生理中にかけて、どうにもならないほど気分が落ち込んでいく……死にたい。
「もう消えてしまいたい」
その思いが何度も繰り返し頭をよぎる。
だけど、生理が終わると何もなかったみたいにケロっとしてる。
それでも、生理前になるとまたひどく気分が沈んで、死にたいと思うようになる…
この繰り返しで毎月疲れ切ってしまって深刻に悩んでいる女性は、かなり多いみたいなのです。
「病気じゃないからガマンするべき?」
…いいえ。ガマンしないでいいんです。
今回は、生理前や生理中に死にたくなる症状を引き起こすPMSとPMDDについてお話します。
生理前や生理中に死にたくなる理由
普段は普通に過ごしているのに、生理前や生理中になった途端に死にたくなるほど気分が落ち込んでしまう。
もしかするとそれは、PMS(生理前症候群)またはPMDD(月経前不快気分障害)という症状に当てはまるかもしれません。
いずれも、排卵時期の女性ホルモンバランスの乱れによって起こるとされていますが、両者は似ているようで違う特徴があります。
PMSとPMDDの違いとは?
PMS(生理前症候群)
下腹部痛や頭痛、乳房の痛み、むくみ、肌荒れなどの身体的な症状と、イライラしたり情緒不安定になる、不眠などの精神的な症状といった、生理前や生理中に起こる不快な症状を総称してPMSと呼びます。
生理のある女性の9割がPMSの症状に悩んでいるといわれています。
日本産婦人科協会では、「月経前の3~10日の間続く症状で、月経開始とともに症状は軽くなったり治ったりする」と説明されています(参考:公益社団法人 日本産科婦人科学会)
排卵してから生理が始まるまでの期間(黄体期)は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。
この黄体期の後半に卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、PMS(月経前症候群)の原因と考えられています。
とはいえ、女性ホルモンや神経伝達物質は外部からのストレスの影響を受けやすいものです。PMSの原因も女性ホルモンの低下だけではなく、様々な要因が絡んでいるといわれていて、確かな原因はまだはっきりとわかっていません。
PMDD(月経前不快気分障害)
PMDDはPMSより精神的な症状が重いものと考えられています。どれくらい重いかというと、日常生活が困難になってしまうくらいの症状です。
悲しくなって涙が止まらなくなる、死にたくなる、極度の不安など鬱に近い状態になり、それを自分で制御することができなくなります。
PMDDの原因はPMSとほぼ同じと考えられていますが、PMSと比べてセロトニン(神経伝達物質)の減少量が大きいので症状も重くなります。
PMDDを発症するのは生理のある女性の5%といわれており、割合は少ないのですが、この症状が起こったら放置しないで、適切な対処をする必要があります。
必要に応じて、こちらの記事でより詳しくセルフチェックをしてみてください。
生理前の辛いうつ状態。PMS・PMDDセルフチェック【保存版】
PMSとPMDDを改善させるには?
PMSもPMDDも日常生活に支障をきたすレベルであれば、ためらわず病院に行きましょう。
とくにPMDDは自覚または家族が気付いた時点で、すぐに行った方が良いでしょう。
PMSは婦人科、PMDDは鬱のような症状なので心療内科に行くことをおすすめします。
PMSは婦人科
PMSは程度の差があります。これにより生活に支障があるようなら、婦人科に相談してみましょう。
ちなみに、PMSの治療では、おもに低用量ピルの処方が主流です。ホルモンの急激な変化をおさえることで、症状をゆるやかにします。
(出典:http://karadanote.jp/)
PMDDは精神科や心療内科
月経にともなって起きるとはいえ、PMDDの症状はうつ病と同じです。
そのため自分を傷つけてしまったり、自殺の願望が強くなるといった危険がありますから、専門の精神科や心療内科といったところを受診してください。
治療もうつ病などと同じで、カウンセリングや抗うつ剤の処方などで精神状態を安定させます。
(出典:http://karadanote.jp/)
PMDDの治療は投薬でおこないます。生理が始まる2週間前から服薬を開始し、生理が始まって症状が出なくなるまで、セロトニンの減少を抑制する薬を服用するのが一般的です(参考:月経前不快気分障害「PMDD」鬱の一種、薬で治療が可能-産経ニュース)
服薬の状況、心身の状態など記録をつけることで見えてくるものもあるかもしれません。こちらのPDFもご参考にしてください。
関連PDF
生理前カラダの調子やココロの状態が揺らぐ方へ|監修 田坂クリニック産婦人科・内科院長 田坂慶一
PMS・PMDDを遠ざけるために日常生活で気をつける4つのこと
PMS・PMDDをなるべく避けるために、日頃の生活では以下のような過ごし方を心がけましょう。
1.自分のリズムを知って気分転換する
これまで何度も月経を経験してきた私たちは、もう自分の月経リズムを十分知っているはずですね。
排卵後~生理前の間は、ボウリングやボルダリングなど仕事帰りに気軽にできるスポーツやカラオケ、いつもよりお高めのディナーに行くなど、自分に合ったストレス解消に時間とお金を使ってみましょう。
生理中になると貧血になりがちなので、生理前までにストレスを十分に解消しておきたいですね。
2.ホルモンのバランスを整える食事を
PMSもPMDDも女性ホルモンの乱れが原因の1つなので、バランスをできるだけ整える必要もあります。イソフラボン、ビタミンB6、亜鉛などのミネラル類を摂るよう意識して食事をすべきです。
イソフラボン…納豆、豆乳
ビタミンB6…レバー、まぐろ、にんにく
亜鉛…牡蠣、からすみ、するめ
3.代謝を促してエクオールを作る
イソフラボンが体の中で代謝されると、エクオールという成分に変わります。
このエクオールには、女性ホルモンの乱れによる様々な症状を緩和させる効果があると言われています。
エクオール産生のために、納豆など大豆製品を食べて、運動やストレッチを行い代謝を促しましょう。
ただし、大豆イソフラボンの吸収効率には個人差があり、エクオールをうまく産生できない方も一定割合でいるそうです。
その場合には、エクオールを直接サプリメントで補給するのがおすすめです。
4.運動をする
SSRI(抗鬱剤)使用者と有酸素運動をしている人を比べた実験があり、有酸素運動をしていた人の方が鬱病改善率が高く、再発率が低いということがわかっています(参考:青葉こころのクリニック)
有酸素運動には、ジョギングや水中ウォーキング、ホットヨガなどがあります。長期的に続けることが大切なので、自分にとって続けやすそうなものを選んで始めてみましょう。
さいごに
PMSやPMDDは「月一鬱」と呼ばれるほど、深刻に悩んでいる人たちが多い症状なのです。
いずれも生理前や生理中のホルモンバランスの乱れが主な原因なのであって、甘えでも怠けでもありません。
そして、日常生活に支障をきたすレベルなら病院にかかることを躊躇しないでください。
さいごに、死にたくなるほど辛くても決して自分を卑下したりしないでください。
自分を責めてしまいそうなときには、こちらの記事を読んでみてください。原因はあなたの甘えではなく別にあるのですから。
PMSもPMDDも改善できる症状ですから、まずは病院に行き、その後、症状と縁が切れるように私生活を少しずつ見直していきましょう。
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。