低身長でのホルモン治療。気になる治療費用の目安は?

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主に幼少期・小児期・思春期の各時期にホルモンの影響を受けて骨が成長することで、ヒトは身長が伸びます。

人体には約200個の骨があるといわれていますが、中でも足の骨と背骨は身長の発育に最も関係しています。

この骨の成長に大きく関係しているのが体内で分泌されるホルモン、両親の体格や本人の体質、生活環境、運動、栄養といった要因です。

低身長で治療の適応になるのは、このうち「成長ホルモン」が影響すると判断されたケースで、その場合にはただちにホルモン治療が開始されます。

ホルモン治療は、年齢や成長度合いによってもその後の経過が変わってくるので、早めの治療開始が成果をあげやすいようです。

そこで、この記事では治療適応となるホルモン治療についてご紹介します。

成長とホルモンの密接な関係

子供達

体内で作られるホルモンは血液に乗って特定の臓器に働きかけ、成長を促しています。

子供の成長に深く関わっているホルモンとしては、

  • 成長ホルモン
  • 甲状腺ホルモン
  • 性ホルモン

などがあげられます。

成長ホルモンは脳の下垂体から分泌され、骨に働きかけることで骨の成長を促します。さらに、筋肉を作り脂肪を燃焼させる働きもあり、体格を作るために必要なホルモンです。

甲状腺ホルモンは、喉のあたりにある甲状腺から分泌され、成長ホルモンと共に骨の成長と成熟を促します。

性ホルモンは、男子は精巣、女子は卵巣から分泌され、成長ホルモンの分泌を増加させたり、直接骨に働きかけて骨の成長を促したりします。

これらのホルモンがバランスよく働くことで、子供は成長してゆきます。

低身長はホルモン分泌の異常が原因のことも

成長曲線

出典:日本小児内分泌学会

同性同年齢の平均身長に比べて身長が極端に低い場合には低身長と自覚できますが、伸びる速度が標準よりも遅く、成長曲線から離れていく場合、明らかな低身長になっていなくても何らかの病気が隠れていることもあります。

このうち成長に関係するホルモンが不足している場合には、脳の病気やケガ、小児がんの放射線療法などが原因となっているケースもあるといいます。

  • 成長ホルモン分泌不全性低身長
  • 甲状腺ホルモンの不足によるもの

などはホルモン不足による代表的な病気としてあげられます。

低身長・成長障害の検査方法

ホルモンの分泌不足による成長障害は、その原因によっては適切に成長を促進する治療ができます。

ただし、おおもとの原因となっている病気や環境異常が見つかった場合には、それらに対する治療・対応がただちに必要になることもあるため、専門の医師による診断が大切です。

つまり、成長障害はその原因を早期に明らかにすることが何より重要といえます。

低身長といっても、それが成長障害かどうかを判断するためには、医師による総合的な検査が必要です。

治療法も原因や背後に隠れている病気により異なるため、成長障害が疑われる場合には、適切な治療につなげるためにも早期に病院を受診しましょう。

低身長の治療方法

ホルモン注射

低身長の治療にあたっては、各々の原因に沿った治療が一般的ですが、治療可能なもののうち、低身長児が最も多く受けている治療法は成長ホルモン療法です。

治療の効果が得られるのは骨が成熟するまでの期間で、早く治療を開始することができれば、標準身長に近づく可能性も高くなります。

一方で、生まれた時からに明らかに小さく、定期的にフォローアップされている場合を除くと、幼少期には同年齢の子供と比べて低身長であることに気づきにくい場合もあるので、その点は注意が必要です。

成長ホルモン治療とは、その名の通り成長ホルモンを投与し体の成長を促す治療法です。

成長ホルモンはタンパク質であるため、内服しても胃液で消化されてしまうので、注射による投与になります。

以前は週に2~4回通院治療が必要でしたが、現在では糖尿病のインスリン注射と同様にペン型の注射器によって自宅での注射が可能になっています。

正常時では、睡眠の初めの頃に成長ホルモンが大量に分泌されるので、これに合わせて毎晩注射するのが自然です。

そのため、1週間の投与量が同じならば、週2~4回の通院よりも高い効果が得られることが増えてきています。

さらに最近では、なるべくやさしく、安全かつ正確に注射できるよう配慮された器具が出ていますので、随分と安全に注射ができるようになっています。

また、治療に際してはご家族やお子さんが不安にならないように工夫されていることも多く、以前より心理的ハードルは低くなってきたようです。

低身長の成長ホルモン療法治療費

費用

治療は健康保険の適用となるため、通常は患者の自己負担は総医療費の3割負担で、残りを健康保険で負担します。

また、成長ホルモン療法に関する治療費用は、国の厚生事業として法制化されているため、「小児慢性特定疾病の医療費助成制度」によって助成を受けることができます。

この事業では、成長ホルモン分泌不全性低身長症も対象となっているため、認定基準を満たした場合に必要な手続きをすることで認定されます。

ただし、この医療費助成制度は1年ごとの更新申請時に治療基準を満たしていることが必要で、未成年であっても男子は156.4cm女子は145.4cmを超えると助成は受けられません。

また、この制度では各家庭の所得に応じた自己負担限度額が設けられているので、治療費は各家庭によって異なります。小児慢性特定疾病に対する助成なので、認定基準(男156.4cm、女子は145.4cm)を超えなければ、20歳到達時まで治療費の助成を受けることができます。

そのほか、自己負担額が一定額(自己負担限度額)を超えた場合には、高額医療費制度(健康保険組合や国民健康保険が一定額を負担し、超えた分が戻ってくる制度)もあります。

高額医療費制度は、70歳未満の所得区分により決められているため、各家庭の負担能力に応じた額が設定されます。

とはいえ、成長ホルモン治療におけるホルモン注射はとても高価なものです。

注射にかかる費用のおおよその目安としては、
体重(kg)×0.6万円×0.3(保険負担)
を月々の目安にするとよいでしょう。

ホルモン療法による注射だけでも、例えば体重30kgの児童なら、月々6万円程度、年間にして約70万円程度かかる計算になります。

さらに、成長と共に体重は増加してゆく傾向にあるので、その負担は年々増してゆきます。

そのため、治療費については治療計画と合わせて担当の医師と相談してみるのが安心です。

参考:http://fusicology.info/

さいごに

ノートに書き出す

ヒトの身長は子供の頃に急激な伸びがみられます。また、その身長を伸ばすうえで成長ホルモンが大きな役割を果たしています。

骨が成熟するまでの期間に治療することが効果を示すので、治療効果が見込めるのは男子で17歳女子で15歳くらいまでとされています。

そのため、受診に至るまでの期間をできるだけ短くし、早期の治療開始がカギとなります。

お子さんの成長は毎日変化してゆくもの。不安がある方はしばらく子供の成長度合いを日記につけるなどして、変化を気にしてみるのも良い方法ですね。

参考:http://ghw.pfizer.co.jp/

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