ストレスがたまった時、あなたはどう処理していますか?
もちろん、ストレスの原因が取り除かれることが根本解決なのですが、それがすぐにできるケースは現実的には少ないかもしれません。
ストレス源がなくなるまでの間、「発散」という応急処置をしなければ、ストレスはあなたの心のバケツに溜まっていく一方です。
心のバケツから溢れる前にチョロチョロと小出しにすること。
あるいは、
「ストレスがたまってきたな」と感じたらそのつど、バケツをひっくり返して空っぽにすることが大切です。
心の安定を保つには、そうした工夫が必要になります。
ストレスを減らすポイントはリラックスを増やすことです。あなたは自分なりのストレス発散法をいくつもっているでしょうか?
ストレス発散はSTRESSを以てすべし
ストレスは外部刺激に対する生体の正常な反応なので人が生きている限り、「ゼロ」にすることはできません。それは正常な反応、なくてはならない反応なのです。
そうであるならば、上手くコントロールすることが必要になります。過剰なストレスは、心身の健康状態や人間関係に支障をきたすこともあるのはご存じのとおりです。
瞬間的にかかるストレスには何とか耐えることができますが、怖いのはじわじわと蓄積していく「持続するストレス」なんです。
繰り返しになりますが、ストレスはこまめに発散してため込まないようにすることが一番です。
そのためのキーワードは6つあり、その頭文字をとったものが「S・T・R・E・S・S」の6文字です。
【STRESS発散のキーワード】
S…【Sport】スポーツ
T…【Talk】トーク
R…【Recreation】レクリエーション
E…【Eat】イート
S…【Sleep】スリープ
S…【Smile】スマイル
以下、順番にみていきましょう。
Sport(スポーツ)でストレス発散
モヤモヤしたストレスは運動で発散するのが一番おすすめです。運動後の爽快感はあなたも経験があるのではないでしょうか。
だからといって、なにも激しい運動をする必要はありません。軽めの有酸素運動やストレッチでも十分効果があります。
人は心拍数が高まってくると活動性が高まり、自分に対してポジティブになれます。
好ましい形で交感神経が活性化されるため、意欲的にもなれます。「挑戦したい」という気持ちが高まり、迷いが吹っ切れます。
20分間のランニングや散歩の前後でまったく気分が変わらないという人は、まずいません。常日頃から選択や決定にともなうストレスにさらされている経営者やエグゼクティブに、運動の習慣を持つ人が多いのはそのためです。
そのうえ、軽い運動には心身の疲労回復効果があります。
体を動かす疲労回復方法は「アクティブレスト」と呼ばれます。心身ともに疲れを感じている時も、ある程度活動したほうが疲労回復効果が高いことが分かっています。
疲労物質の乳酸は体を動かすことで速やかに除去されます。逆に疲れたからといって体を動かさないと、乳酸は体内に停滞し疲労感も強くなります。
心身の疲労回復のために、軽く体を動かす習慣をつけましょう。
Talk(トーク)でストレス発散
多分あなたも実感されているように、友人・仲間とのおしゃべりはストレス発散になります。
声を口から出すことで、体に溜まったストレスも出ていきます。無口になると、それだけ体に何かを溜め込んでしまうということです。
ストレスがたまったときほど、「声を出すこと」を意識してください。
人とコミュニケーションを交わすほど、声を出す回数は増えていき、ストレスも発散できるのです。
それだけではなく、会話の頻度が増えると人間関係がよくなります。疑心暗鬼や誤解・すれ違いも少なくなるという効果まで期待でき、結果としてますますストレスをためにくくなります。
実際、ストレスをためない人はコミュニケーションがうまいのが特徴です。
ストレスをため込まないために、意識的に会話の量を増やすようにしてみてくださいね。
インド起源の神秘的身体論に「チャクラ」という概念がありますが、このことを少しだけお伝えしておきます。
人体には「チャクラ」と呼ばれる7つのエネルギーセンターがあります。
第1~第7までの7つのチャクラは人間の精神的エネルギーの中枢を司り、身体の中心線上、経絡に重なる位置にあります。
そのうち第5チャクラの位置する場所が「喉」なのです。
会話をし、声を出すことによってこの第5チャクラが開かれます。チャクラが開かれると、個体内のエネルギーレベルがあがります。しゃべればしゃべるほど、内側からエネルギーが湧いてくるはずです。
また、第1チャクラにはとくに注意が必要です。第1チャクラのシステムエラーは人生全体に影響を及ぼします。
ちなみに第1チャクラを開くには自然の中に出かけるとよいのですが、滝のそばで森林浴をしながらのおしゃべりなどは最高にオススメです。第1チャクラと第5チャクラが同時に開かれますから。
また、この「Talk」の「T」は可能であれば【Travel】や【Trip】に置き換えることで、より強力な効果を発揮します。連休など時間が許せば、自宅を離れてぶらりと出かけてみましょう。
事実、心療内科の医師もうつ患者に対し旅行を勧めているほどです。
Recreation(レクリエーション)でストレス発散
「レクリエーション」という言葉を辞書で調べると、次のように解説されています。
【Recreation】レクリエーション
仕事や勉強の疲れをいやすための休養や気晴し。またそのために行われるさまざまな活動。
出典:世界大百科事典 第2版
つまり「気晴らし」とか「趣味」「娯楽」ということですが、それが何であるかは人によって違うでしょう。
読書かもしれないし、釣りかもしれないし、料理かもしれない。映画を観ることかもしれないし、ギターを弾くことかもしれない。筋トレかもしれないし、ショッピングかもしれない。
ただひとつの大前提となる条件、それは「自分が没頭できること」です。
人間が何かに没頭しているときは、ストレスを生む思考力が働いていないのです。思考力がなくなると、大脳の前頭葉で生じていた精神的ストレス刺激が消滅し、自律神経系・内分泌系・免疫系が正常化されるといわれています。
人は何かに没頭しているときは、
ストレスを生む思考力が働いていない。
一つのことに集中することで、悩み事や余計なことを考えないようにする時間を作ることが必要です。
考え過ぎは心身がリラックスすることを妨げます。
たとえば、泣くことには一晩ぐっすり休んだのと同等のスッキリ作用があるそうなので、泣ける映画で「涙活」もいいですね。
いざという時に没頭できる対象を複数持っておくと心強いですね。それは平常時の心のゆとりにもつながります。
Eat(イート)でストレス発散
食べることは副交感神経を優位にする一番手っ取り早い方法なのです。ストレスにさらされた人たちがよく食べるのは、実は本能レベルでのストレス発散法なのです。
バリバリの働き盛り世代がよく食べて太っているのはこのためです。しかし、食べることができて太れるということは、それだけストレスに対する耐性が高いと言えなくもありません。
食べることができなくなったときは、深刻なレベルでストレスが蓄積していると思われます。
交感神経と副交感神経の関係
ここで、自律神経の2系統に関して簡単に説明しておきたいと思います。
自律神経には交感神経と副交感神経という2つの神経系があります。2つの神経系がバランスよく働くことで、心身の健康が維持されます。
この2つの神経は、いわばシーソーのように交互に働き、常に2つのうち、どちらか一方が優位になっている状態です。
交感神経のスイッチがONの時は、副交感神経はOFFになります。副交感神経のスイッチがONの時は、交感神経はOFFになります。
交感神経は「闘争と逃走の神経(Fight and Flight)」とも呼ばれ、活動中・緊張しているとき・ストレスを感じているときに活性化します。
なので通常、昼間の活動中には交感神経が優位に働いています。これは「戦闘モード」の神経ということができます。
一方、副交感神経は「修復・休息・リラックスの神経」とも呼ばれ、夜間の睡眠中・入浴中・食事中など安静時や夜間に活性化します。
筋肉が緩んで血管が拡張するため、栄養や酸素が全身にいきわたり、体の修復がおこなわれます。これは「やすらぎ・休息モード」の神経ということができます。
こう聞くと、
「ずっと副交感神経を優位にすればいいのでは?」という人がいますが、どちらかに偏り過ぎることが良くないのです。
もっとも大切なのは、そのバランスがとれていることです。
たとえ「休息モード」であっても一方に偏り過ぎた状態が続くと、心身に不調をきたします。あなたもダラダラしすぎて、余計に疲れた経験はありませんか?
Sleep(スリープ)でストレス発散
このSleepがストレス発散になるのは、Eatと同じ理由からです。交感神経に偏った自律神経のバランスをとるために、副交感神経のスイッチをONにするために眠ります。
リラックス用BGM・間接照明・お香(アロマ)などのアイテムの併用もおすすめです。
ストレスからの逃避という意識ではなく、「暫時、脳を解放する」というイメージを持って遠慮なく自分の脳に休息を与えてください。前向きな休息・積極的な睡眠というイメージです。
筆者はストレスを感じたら、とりあえず寝るようにしています。ストレスを感じたまま起きているのもイヤという理由ですが。実際、目覚めたときには気分はかなり好転しています。
なかなか寝つけないという大人の女性はこちらを参考にしてみてください。
関連記事 夜中に目が覚める。眠れない40代女性が改善すべき6つの習慣
Smiile(スマイル)でストレス発散
笑いには次の3つの種類があります。
- 楽しい・愉快なときに出る「快の笑い」
- 人とのコミュニケーションの場面での
「社交場の笑い」 - 緊張が緩んで安心したときに出る
「緊張緩和の笑い」
この3つです。
日本人は1日平均17回笑っているというデータがあるそうですが、あなたは1日に何回声を出して笑いますか?このストレス社会に生きる僕たちは、果たして毎日平均17回も笑っているでしょうか。
「笑うことができるのは、あらゆる動物の中で人間だけだ」とアリストテレスは言っています。
笑いには脳の「前頭葉」という部位が深く関係しています。この前頭葉は物事を思い考えたり、意欲を持ったりするなど、高次元の精神機能をつかさどる部位です。
笑うことにより、前頭葉にある前頭前野の脳細胞が活性化されます。それにより、ストレスを生じる思考の働きに干渉することでストレスが消滅あるいは減少するのではないかと考えられています。
また笑うことにより免疫力が30%程度向上するといわれていますが、これは自然免疫の主要因子として働くNK(ナチュラルキラー)細胞の活性化につながるためです。
良いことずくめの笑いには、さらに次のような効果もあります。
- 心臓や肺を刺激しより多くの空気を取り入れることができる
- 脳下垂体からのエンドルフィン(鎮痛作用がある)の分泌を促し痛みを和らげてくれる
- 副交感神経が刺激され血行を促進し緊張をときほぐしてくれる
- 緊張を取り去り体をリラックスさせる
そして特筆すべきことは、たとえ「作り笑い」でもこれらの効果が期待できるという点です。
どんな笑いでも、「口と目」の両方で笑うことができればOKです。それだけでストレスも軽くなり、前向きになれるでしょう。
「苦しいときほど笑え」というのは、単なる精神論ではなくこういう意味もあるのです。
最後に「笑いと治癒力」という本から、ノーマン・カズンズの奇跡を紹介します。
カズンズは49歳のとき膠原病に罹り、治る確率は1/500と言われます。
「一緒に暮らしている自分と妻の違いは何だ?」と観察を重ねた結果、彼はストレスが原因だと気づきます。以来、彼はコメディ映画を見るなどしてよく笑い、ストレスを減らすよう努めました。
その結果、医師から「もう歩けないだろう」とまで言われていたカズンズは3週間後には歩けるようになり、 数ヵ月後には仕事にも復帰できたそうです。
フィクションではなく、世界にはこんな奇跡的な事例もあるのです。
さいごに
いかがだったでしょうか?
以上みてきたように、「ストレス発散はSTRESSをもってすべし」。あなたも是非、これを合言葉にしてください。
T…【Talk】トーク
(or【Travel】トラベル【Trip】トリップ)
R…【Recreation】レクリエーション
E…【Eat】イート
S…【Sleep】スリープ
S…【Smile】スマイル
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あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。