メンタルヘルスを損なわないために覚えておいてほしい12のコト

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進級・進学や新社会人の方、転勤・異動で環境が変わった方、なにかと疲れが出てきてはいませんか?

体に不調は出ていなくても、メンタルヘルスはどうでしょう?

メンタルヘルスとは心の健康のこと。身体の健康と同じく、日頃からのケアが肝心です。

そして、メンタルヘルスに大きく関係しているのがストレスです。

ストレスとは外部刺激の変化に対する生体の「反応」のことです。

生きている限りストレスを完全にゼロにすることは出来ませんが、緩和したり、うまくつき合うことは可能です。

この記事では、

  • そもそもストレスをためない方法
  • メンタルヘルスを損なわないために気をつけるコト

について書いています。

1.自ら孤立しない

職場で孤立する

コミュニケーション不足は、疑心暗鬼からやがて嫌悪感に発展します。

普段から同僚や友人、家族とのコミュニケーションを心がけましょう。挨拶や軽い声かけ、他愛もない話でいいので継続的に周囲とつながることです。

孤立しにくい対応

  • 話すより聞くことを意識(話すことの2倍聞くこと)
  • 気を遣い過ぎない(会話に時々タメ口を入れてみる)
  • 興味のない話でも面白がって過剰に反応してみる
  • その場にいない人の悪口を一緒になって言わない

孤立しやすい対応

  • 「どうせこうだろ?」と相手の考えが分かると根拠もなく思い込む
  • 「言わなくても分かるだろ!」という言葉足らずな態度
  • 「話してもムダ」だと感じたら一方的に会話を遮断する身勝手

他人を理解することを面倒に感じると、上記のような対応になりがちです。

メンタルヘルスを損なわないためには、コミュニケーションを軽視してはいけません。

2.完璧主義にハマらない

完璧主義にハマる

仕事も家事も70点主義でやりましょう。「すべてキチンとしなければ!」と考えると手をつける前から精神的に消耗してしまいます。

また、どこまでいっても自分にOKを出せないので、仕事がいつまで経っても片付かずにたまっていく傾向があります。

そうすると、今度は「仕事が大量にたまっている」という別のプレッシャーがストレスを増大させてしまいます。

完璧主義とストレスは「大の仲良し」だということを覚えておいてください。

これを解決するには、完璧主義から「暫定主義」「スピード主義」への発想の転換が必要です。

報告書でも何でも、とりあえず第一報は早く出す。その後にブラッシュアップして改訂版として差し替えればよいのですから。

3.自分自身のキャパシティを知る

自分のキャパを知る

「あの人はご飯を茶碗5杯食べられるのに、自分は3杯しか食べられない…」

きっとあなたもそんなことで悩んだりしないはずなんです。胃袋のキャパが違うのだから。

  • 仕事では職場の誰かと同じ仕事量を同じ期限内にやれなければ、無能感を抱えてしまう
  • 掃除・片付けのカリスマ主婦と同じように、自宅の掃除をできなければ無能感を抱えてしまう
  • 同い年の友人に誘われて一緒にマラソン大会に出場したら、自分だけ10km手前でヒザを壊した

これらも全部「ご飯の量」と同じことなんです。

自分のキャパを見極めることは意外とできていない人が多いのですが、メンタルヘルスの観点からは大切なことです。

4.頑張り過ぎない・追い込み過ぎない

頑張りすぎない

端的にいうと、「余力を残す」ということです。

もちろん時には力を出し尽くすことが必要な場面もありますが、毎回毎回それをしていると、当然ですがどこかでガス欠になります。

仕事が山積みで、メドが立つまでやりたいのは山々でしょうが「ここまで追い込んだら、自分は明日も走れるか?」と自問することは大切です。

その追い込みは単なる自己満足になっていませんか?

仕事も人生も短距離走ではなくマラソンなのです。

5.すべての期待に沿わなくていい

すべての期待に答える必要はない

誰かに期待されると、それに応えたくなるのが人情です。

これは一見すると良いことのようですが、実はしんどいことでもあります。

一度期待に応えると、それ以降は期待に応え続けなければならなくなるからです。

そして、どこまでいってもきっと相手は「もっともっと」と要求してくるでしょう。

「もっと早く処理したら?」

「もっとたくさんトライしてみたら?」

「もっと頑張れるんじゃないの?」

そんな勝手な期待にいちいち応えていたのでは、あなたの心と身体がもちません。

忘れないで下さい。

あなたは、誰かの期待に応えるために生きている訳じゃないのです。

ドイツの精神医学者フレデリック・パールズの次の詩をときには思い出してください。

「ゲシュタルトの祈り」
私は私のために生きる。あなたはあなたのために生きる。
私は何もあなたの期待に応えるために、この世に生きているわけじゃない。
そして、あなたも私の期待に応えるために、この世にいるわけじゃない。
私は私。あなたはあなた。
でも、偶然が私たちを出会わせるなら、それは素敵なことだ。
たとえ出会えなくても、それもまた同じように素晴らしいことだ。

フレデリック・パールズ

6.くだらないプライドは捨てる

プライドの高い女性

プライドには2種類あります。

「絶対に譲れないもの」と「あっても意味のないもの」です。

前者は、信念・信条・ポリシーなど自分の存在意義を問うプライドであり、後者は、虚栄心・自分が傷つかないための虚勢・個人の欲のためのプライドです。

「あっても意味のないプライド」には次のようなものがあります。

  • 年下の上司の指示には素直に従えない
  • 知らないことを部下や後輩に聞けない
  • 自分の非を認めて素直に謝れない
  • 助けて欲しいといえない

くだらないプライドを持っていると生じる3つのデメリットはこうです。

  1. 正確な現実認識が困難となり自己成長を妨げる
  2. 頭を下げて人にものを頼めないため、仕事で結果を出しにくい
  3. プライドの高い人とは付き合いにくいため周りから人が離れていく


7.あれかこれかで良しとする

選択と集中

1日の予定に3日分くらいのタスクを詰め込んで、それが1日で終わらないことで自分を責める人がいます。

「あれもやりたい。これもやりたい」という気持ちはよく分かります。ですが、そうなると結局どれもできないのです。

すべてをやろうとして、すべてが中途半端に散らかるだけ。そして1日の終わりに自己嫌悪と無能感に苛まれる。

一生懸命やろうとしているのに、これはあまりにも勿体ないことです。

日々の達成感を持つには選択と集中がカギ。

1日のうちに必ずやり遂げたいことは「2つまで」というルールを作ります。

そうすれば1日の終わりに「ああ、今日も何一つ出来なかった」などということはなくなるはずです。

「あれもこれも」ではなく「あれかこれか」。重要なのは選択と集中です。

すべてをやろうとせずに絞り込む方が成果が出る。これを「ランチェスター戦略」といいます。

8.それはそれ。これはこれ

メンタルヘルスを損なわないためには、別々の問題を一緒にせず、個別に分けて考えることが大切です。

「1つがダメなら全部ダメ」という一事が万事、All or Nothing的な考え方は危険なのです。

これはこれ、それはそれという見方
物事を感情に囚われずに判断すること
私情をはさまない判断 ・ 私情を差し挟まない判断 ・ 原理に基づく考え方 ・割り切り

出典:weblio類語辞典

  • 今朝出勤中に車をぶつけたから、きっと午後の商談もしくじるだろう
  • A社への対応でミスをしてしまったから、B社の担当も外されるだろう
  • 朝挨拶をしても返事してくれなかったから、自分は嫌われている

それはそれでしかたがない。でもこれはまた別のこと。

Aがダメだったからといって、Bダメで、Cもダメだとは限らないのです。

9.切り替え上手であれ

切り替えが大事

一つの失敗を気にして引きずっていると、別の失敗を招くことが多いのです。あなたにも経験があるかもしれませんね。

バックミラーばかり気にして運転していたら、信号待ちで停車している前方の車に突っ込んでしまいます。

焦ることは何の役にも立たない。後悔はなおさら役に立たない。
焦りは過ちを増し、後悔は新しい後悔をつくる

ゲーテ

10.感情を吐き出す

飲みにいく

アメリカでは個人カウンセリングの習慣が根付いているのに、日本では同じようにならないのは日本特有の「居酒屋文化」「飲みニュケーション」の影響だそうです。

仕事帰りに仲間で飲みながら、職場の不満や愚痴を言い合う。

カッコよくない飲み方かもしれませんが、これがカウンセリングの役割を果たしているとしたらどうでしょうか?

ネガティブな感情はため込むことで増幅します。なるべく小出しで体の外に出すことを意識しましょう。

何もお酒が入らなくても大丈夫です。友人とのおしゃべりやカラオケなど、自分にあった方法をみつけてください。

ノートに書きなぐるのも効果的です。

また、感情は「声」だけでなく「文字」として体の外に吐き出しても同じ効果があります。

なかなか外出の時間がとれない人は、自分自身と対話するためのノートを1冊作り、文字にして想いを吐き出すと良いでしょう。

実際に、経営者・芸能人・アーティスト・クリエイターにもこうしたノートを作っている人は多いようです。

11.涙活をする

泣く

泣くことがストレス解消に効果的であることは広く知られています。

それは、涙を流すことにはカタルシス効果(精神の浄化作用)があるからです。

カタルシスという言葉は、「心の中に溜まっていた澱(おり)のような感情が解放され、気持ちが浄化されること」を意味します。
さらに、一般化して、「心の中にあるわだかまりが何かのきっかけで一気に解消すること」をいいます。

出典:[三省堂辞書サイト]10分でわかる「カタルシス」

意識的に涙を流すことでカタルシスを引き起こそうとする活動を指して「涙活」と呼びます。

1か月に2~3分だけでも能動的に涙を流すことによって心のデトックスを図る活動。
離婚式プランナー寺井広樹氏が提唱。

出典:涙活 Official website

ここで、涙とストレスの関係についてもう少し詳しく知っておきましょう。

涙活(るいかつ)とは意識的に泣くことでストレス解消を図る活動のことである。
涙を流すことにより、人間の自律神経は緊張や興奮を促す交感神経が優位な状態から、リラックスや安静を促す副交感神経が優位な状態に切り替わる。
涙活は、この仕組みを利用したストレス解消法とされている。
ストレス解消に効果があるのは、悲しみや感動などによる情動の涙。なお目を潤すための基礎分泌の涙や、タマネギを切った際に出る角膜保護の涙には、ストレス解消効果はない。

出典:wikipedia

このように、情動の涙には自律神経や免疫の乱れを調整する効果があり、その癒し効果は一晩の睡眠に匹敵するといわれています。

また涙の成分にはACTHというストレスホルモンが含まれており、涙を流すことは物理的にこのACTHを体外に出す働きがあります。

さらに、涙を流すと脳内麻薬「エンドルフィン」が増加します。そのため泣いた後はエンドルフィンの効果で気持ちがスッキリするのです。

ここまで読んであなたも泣きたくなってきたかもしれませんね。

12.変化に早めに気づく

心の変化に気づく

最後に、メンタルヘルス不調のサインには早めに気づいて対処することが大切です。ときに根性論でこじらせることがあるので、以下に注意すべきサインを挙げておきます。

  • 集中力の低下
  • 意欲が湧かない
  • 眠れない
  • すぐに目が覚める
  • 体が重くダルい
  • 頭が重い
  • 食欲の減退

また、自立神経の失調による次のような不定愁訴が現れることもあります。

  • 発汗
  • 手足の冷えやほてり感
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 動悸、息切れ

さいごに

メンタルヘルスを損なわない考え方は最初のうちは意識しながらする必要があります。

ですが、習慣化すれば無意識の自動システムや思考・行動のクセになります。

これら12の習慣によって生きるのがラクになればもっと自分らしく、もっと自己肯定感を持って日々を過ごせることでしょう。

あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願っています。