営業マンが商談に応用すべき説得工学と物体を動かす3つの要素

ビジネスマンたち 営業

Aというお客さんに通用した手法が、Bというお客さんには全く通じない。

Bというお客さんに通用した手法が、Cというお客さんには全く通じない。

「契約」という同じ山頂に登るのにも、お客さん次第で登山ルートが異なるため、営業に携わる皆さんは心を砕かれていることと思います。

今回は、ほぼ外すことのない最大公約数的な契約の方程式をお伝えします。

基本的に僕は、経験したことしか話せないので「新車営業」を例にとって話を進めますが、あなたの扱う商品に置き換えて読んでみてください。普遍的な内容なので、業界に左右されることはほとんどないはずです。

物理の授業を思いだしてみる

摩擦力

物体を動かすためには「抵抗を減らす」「加える力を強くする」ことが必要になります。

これが人間にもそのまま当てはまるのだろうと思い、僕もしばらく現場で試してみましたが、どうも上手くいきません。その原因は、僕がお客さんを「物体」と同様に考え、商談を「作業」として淡々とこなしていたからだと気づきました。

人間には感情があるので、そこにもう一つ「傾聴」という要素が入ります。これによって、今現在の商談の基本的なフレームが確立されました。

“契約=お客様×傾聴-抵抗+加える力”

実際にこうした内容を専門に扱う「説得工学」という分野もあるのですが、契約という山頂にいたる登山ルートは主に次の3つの段階からなります。

  • お客様に傾聴する
  • お客様の抵抗を減らす(無くす)
  • お客様に強い力を加える

1.お客様の話を傾聴する

インタビュー第1段階は「傾聴」でひたすら話を聞くフェーズです。商談にはお客さんに話させていい場面と、いけない場面があります。ここでは思い切りお客さんに話をしてもらいましょう。

「傾聴」というのは、主にカウンセリングにおけるコミュニケーションスキルの一つです。

とはいっても何も難しいことはなくて、人の話をただ聞くのではなく、注意を払ってより深く丁寧に耳を傾けることを指します。

相手が話したいことを、受容し共感しながら真摯に聞く行為を指します。

これをすることで、相手の「自己重要感」が高まり、警戒心をやわらげどんどん「自己開示」してもらうことを目的としています。自己開示とは自分のことをどんどん話してもらうことです。

こういう書き方をすると、戦略的で少々いやらしさを感じますが、何の目論見や方法論もなく「ただおしゃべりをしていたら売れちゃった」みたいなことは実際の現場ではないのです。

もし仮にあったとしても、そういうことには再現性がありません。つまり、「あてにしてはいけない」ということです。

「自分がよく話せた商談は決まらず、お客さんがよく話した商談は決まる」。他の記事でも繰り返し書いていることですが、これは営業の鉄板ルールです。

お客さんになるべく多く話してもらうと、次の段階もスムーズになります。

2.お客様の抵抗を減らす

グラフの説明をする先生第2段階は「お客様の抵抗を減らす」というフェーズになります。ここでは何が購入をためらわせているのか、その原因となっているものを探り当てて、それを取り除く作業をしていきます。

ここで、前の「傾聴」で築いた信頼関係とそこから得た情報が役立ちます。

問題になっているのが「時期」であれば、「いつ」ならばいいのか。

その理由はどういったことか?頭金を準備する都合なのか、車検が残っているからなのか?問題になっているのが「燃費」であれば、競合車との比較データを提示し、自社製品が燃費で劣る場合には、馬力や安全性能など勝てる要素で補強する。

「合理点セールス」ともいわれますが、お客さんの不安や疑問点に関しては回答を保留にせず、客観的データを提示して可能な限りその場で解決することが望ましいとされます。

いったん保留にした回答は、回答のハードルが上がると心得てください。時間が経過してから期待に沿えない回答をすることほど、お客様を落胆させることはありません。

ただし、詳細なデータは暗記する必要はありません。事前に質問を想定しておき、必要となるデータを揃えておけば事足ります。

仮にあなたが丸暗記したデータを口頭で伝えたとしても、やはりデータを目の前に提示された説得力には敵いません。

お客さんごとに商談で必要となるデータは違うことも多いため、このデータをストックしておくことで、財産として積み上がっていきます。

3.お客様に加える力を強くする

トレーニング中のボディビルダーいよいよ最後の第3段階です。

ここまでで「信頼関係」を作り、「買わない理由」を潰してきたはずです。買わない理由がなくなったら、あとは買うだけだろうと思うのですが、契約前に「最後のためらい」という壁がおそらく高確率で現れるはずです。

これはお客さんの理性ではなく、「感情」です。この段階ではもう、理屈ではないのです。「自分は本当にこのまま契約してもいいのだろうか?」。そういう不安が胸に去来して、山頂の手前で足がピタリと止まってしまう。

ここで最後は「強い力を加える」というフェーズになります。それは簡単で、お買い得感を全面に押し出して背中を押してあげることです。たとえば「決算価格」「今だけ価格」「特典付き」などがそれにあたるでしょう。

ただし、これはお客さんの購買意欲が最大限高まった後に出現するこの「最後のためらい」を押し切るためだけに使いましょう。

間違っても商談の初期段階で打つ手ではありません。もしそんな人がいたら、彼は販売条件を売るしかない営業マンだと思って間違いありません。

まとめ

いかがだったでしょうか?

物体を動かすときも、人の心を動かすときも基本は同じ。ポイントは「抵抗を減らす」「力を加える」。この2つです。

前述した通り「説得工学」という学問分野があります。説得工学とは、相手を説得する方法をまとめた学問のことでソニー創業者の一人である井深大氏による言葉です。

興味のある方は「説得工学」で検索してみてください。

より詳細な契約までのステップを知りたい方はこちらをお読みください。

「【ブクマ推奨】飛び込み営業のコツは8ステップの理解から!」

あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。