「営業担当なのに口下手でお客さんとの会話が続かなくて…」
「自分はお客さんから好感を持たれていないんじゃないか」
と悩んでいる方は案外多いようです。
この記事ではコミュニケーションとトークの違い、そしてコミュニケーションが上手くいく具体策をお伝えします。
一般的に「コミュニケーション」というとき、情報の伝達だけができればそれで十分に成立したとはみなされません。
人間と人間の間で、「意志の疎通」や「互いに理解し合う」ことができて初めてコミュニケーションが成立したといえるのです。
コミュニケーション能力とは
前述の「コミュニケーションの定義」を踏まえて、コミュニケーション能力について考えてみます。
もし今あなたが話下手で悩んでいる場合には、コミュニケーションについての誤った思い込みがないか確認してみてください。
あなたはどういう人が話し上手だと思っているでしょうか?
「トークのスキルが高い=コミュニケーション能力が高い」ということにはなりません。
ペラペラと面白い話が湯水のように口をついて出てくる人。すなわち、会話のネタの引き出しの多い人。こういう人がコミュニケーション上手な人ではありません。
それはいわゆる「スピーカー(話す人)」です。
そういう人は、講演会やセミナーなどの講師には向いていますがコンサルタントや営業マンには向いていません。
なぜならば、コンサルタントや営業マンには会話の双方向性が求められるからです。
コンサルティングや商談は当然ながら情報のアウトプットだけでは成り立たず、相手からのフィードバックを必要とします。
つまり、自分が話すだけではなくそれ以上に相手にも話させることが必要になるというわけです。
この「会話の双方向性を確立できる人」こそが、コミュニケーション能力の高い人だといえます。
話し上手は万人受けしない
話し上手は人によってはうっとおしがられることがあります。相手が物静かなタイプのお客さんの場合などはそうです。
こういう場合、おしゃべり上手な営業マンはお客さんの反応が悪いからと焦って会話を盛り上げようと、余計にペラペラとまくし立てるのですが、これは全くの逆効果です。
お客さんが黙っているのは、あなたの話には興味がないから。相槌を打ってあなたを調子づかせたくないからかも知れません。
内心「早く終わらないかな」と思っている可能性が高いのです。
聞き上手を目指すのが王道
自己開発・セールス・対人スキルの権威D・カーネギーは、自身の代表的な著書である『人を動かす』の中で人に好かれる6原則の中の一つとして次の項目を挙げています。
「相手の関心を見抜いて話題にする」
また、こうも言っています。
「相手のことを話題にすると、人は何時間でも話し続ける」
また、アラブの言い伝えに次のようなものがあります。
耳は2つあるが口は1つしかない。
それは、「自分が話すことの2倍相手の話を聞きなさい」という神様のメッセージである。
あなたがもしコミュニケーションスキルで悩んでいるのなら、私は経験則からも聞き上手になることを強くおすすめします。
傾聴のスキルを身につける
“傾聴”とは、カウンセリングやコーチングにおけるコミュニケーションスキルの一つです。
【傾聴】ケイチョウ
人の話をただ聞くのではなく、注意を払ってより深く丁寧に耳を傾けること。
自分の訊きたいことを訊くのではなく、相手が話したいことを受容的・共感的な態度で真摯に“聴く”行為や技法を指す。
この“傾聴”の目的は「相手の関心を見抜くこと」にあります。さらに「相手の関心事に理解を示す」ことにつなげるのです。
傾聴の際、前述の「相手の関心を見抜いて話題にする」ことを実践するために、会話の中から相手の関心を探り当てます。
この態度が相手からすれば「自分の話を真剣に聞いてくれている」というふうに映るので、まさに一石二鳥です。
関心事を探り当てたら、あとはそれに関する質問をコツリコツリと当てていれば、相手が勝手に話してくれるのであなたは話題に困ることはありません。
きっと、話を切り上げるタイミングに困るくらいでしょう。
そして、会話の中で印象に残ったキーワードを1,2メモしておき、そのことをフォロー活動の切り出し話法に使うのが王道です。
たとえば、「息子さんが今年小学校に入学」とメモしたら、フォローの時には「息子さんは学校には慣れてきましたか?」というふうに切り出す。
あるいは「来週北海道に出張」とメモしたら、フォローの時には「北海道出張、どうでした?向こうはまだ寒かったでしょう?」というふうに切り出す。
そういうふうに切り出すことで、お客さんからしてみれば「この人は自分の話をきちんと聞いて自分という人間に関心を示してくれているんだ」とあなたに対する好感度はグッと上がります。
つまり「存在を認めてもらいたい」「関心事に理解を示してほしい」という相手の「自己重要感の欲求」が満たされたのです。
さいごに
人と会話をするときには、自分都合でペラペラしゃべることばかりではなく「相手の興味関心はどこにあるのか」という視点をもってなるべく会話を引き出すように心がけると良いでしょう。
この方法は営業マンのみならず、あらゆる人間関係に応用できる王道のコミュニケーション手法です。
あなたの参考になればさいわいです。