皆に好かれようとするとしんどいし、結局は誰とも深い付き合いができなくなります。誰かのことが苦手ならそれでもいい。
苦手な人がいることはむしろ人として当然のことなのです。なぜなら、人間には本来そういう「仕組み」があるからです。
苦手意識の生まれる理由
ここでは生体反応としての苦手意識にフォーカスしてみます。その仕組みを知れば、「苦手な人がいる」という現状も、「あ、普通のことなんだ」と理解してもらえると思います。
苦手意識の生まれる理由をひと言でいうと「自分のスタンダードとのギャップ」この一点に尽きます。人間は「異質もの」に遭遇すると大きなストレスを感じます。
異質なものは自分のペースを崩し、自分の状態に影響を及ぼし変化させてしまう可能性があるからです。
人間は変化をとても嫌うのです。いや、変化することを恐れる生き物なのです。その理由の一つとして「ホメオスタシス(恒常性維持機能)」という機能があります。
ホメオスタシスとは
フランスの生理学者クロード・ベルナールが提唱し、アメリカの生理学者ウォルター・B・キャノンが命名した内部環境の固定性のことです。
つまり、これは生体内の状態を一定に保つ機能のことです。意識しなくても、心拍数や血圧、体温などが一定に保たれるのはこの機能によるものです。
たとえば―
風邪のウイルスが体内に入ると免疫機能が働き、ウイルスを退治するために38~39 度くらいまで発熱しますが、退治した後はまた36度くらいで安定します。
100mを全力疾走すると脈拍は120ぐらいまで上がり、不足した酸素を体内に送ってくれますが、酸素が行き渡ればまた60前後で安定します。
つまり、変わるということは生体にとって「異常事態」であり、ホメオスタシスはたちどころにその異常を察知し、元の安定状態に体を維持しようと働いてくれるのです。
この「ホメオスタシス」の存在が「苦手な人」の存在に密接に関係しているのです。
心にもあるホメオスタシス
このホメオスタシスは「体」だけでなく、「心」にもあります。変化を「異常事態=不安」と感知し、元の状態に戻そうと必死で抵抗します。
変化しないほうがリスクも少なく、不安からくるストレスを受けずに済むからです。
だから「現状から変わったほうがいい」、たとえば「俺は少しやせたほうがいい」と自分が頭でいくら考えても、本能では不安やストレスを感知して、変わることを拒絶してしまうのです。
ちなみに「ストレス 反応」とGoogleで検索すると、次のように説明がなされていました。
ストレス反応とはホメオスタシス(恒常性)によって一定に保たれて
いる生体の諸バランスが崩れた状態(ストレス状態)から回復する際
に生じる反応をいう。(出典:Wikipedia)
このような「体と心のホメオスタシス」の働きがあるため、外部からの影響や新しい変化を拒絶するのは、いわば当然なことのです。
一見厄介にも思える、このホメオスタシスが備わっているのはそれが生命を維持するのに必要な機能だからです。
人見知りも苦手意識もあって当然
しかし他人との関わりにおいても、ホメオスタシスの働きによって変化を避け、変化の原因となる相手を排除していたのでは、人間関係の広がりや自分自身の成長がなくなってしまいます。
冷静に考えると、僕たちが出会う人は全員「自分と違う面を持つ人」ばかりなのですから。
それが現実であり、どうすることもできない訳です。苦手な人と遭遇した時に「理解できない」という気持ちになるのは、ホメオスタシスの働きからすれば当然のことです。
でも「理解しよう」とすることで自分自身の器も広がり、心のホメオスタシスが解除されることで人間関係も広がっていきます。
つまり現状を打破するためには、この世は「自分と合わない人だらけなんだ」ということを受け入れる必要があるいうことです。
「受け入れる」などと小難しく考えなくても、逆に「手放す」といったほうがいいかもしれません。
そのままで受け入れてそのままで受け入れてもらう
自分という人間はこの世に一人しかいない。だから相手と自分に「違いがあるのは当然なのだ」と気づくことです。変えられない他人のことはこだわらずに手放すのです。
「いろんな人がいるもんだな」くらいに思っていればいいんです。違いを否定する必要もないし排除する必要もない。違うからこそ面白い。
世界中が全員自分だったら、きっと今よりもっとイライラします。相手の嫌なところが目につきすぎるから。
まとめ
いかがだったでしょうか?
最後にもう一度ポイントをまとめておきます。
- 「ホメオスタシス」という恒常性維持機能があるため人間は変化を嫌う
- 生体にとって自分と異質なものはストレス
- ホメオスタシスは体だけでなく心にもある
- 人間は違いがあるから面白い。世界が全員自分だったらきっとムカつく
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。