初対面の相手に対してはいつも緊張して打ちとけられない。いつまで経っても距離の縮まらない苦手な顧客がいる。あるいは新しい上司との人間関係がうまくいかない。
もしあなたが今、そんな悩みを抱えているのならこの記事の内容が今日からすぐに役立つでしょう。
まずはお互いの類似点を探す
人は自分と違うものに対して、不安や緊張といった感情をもちます。逆に、自分と相手との共通点を発見すると一気に距離感が縮まります。そしてそこから、安心感・信頼感が生まれます。
ですから、まずは“共通項探し”をするのがセオリーです。共通項といっても、ほんのわずかなことで十分です。
よく話を聞いてみたら、出身大学が同じだったとか、お互い昔はバンドを組んでギターを弾いていたとか、学生時代はバイクが好きでよくツーリングしてたとか、中学・高校と6年間サッカー部だったとか、釣りが趣味で週末ごとに海に行っているとか、どこそこのラーメン屋によく通ってるだとか。
本当にそんな些細な共通点があるだけで、一気に互いの距離を縮めることができるものです。ですが、そういった共通項を引き出すためには自分が会話の主導権を握り、相手が話しやすいようにうまく誘導する必要があります。
そもそも無口な相手や高圧的な相手の場合には会話の誘導自体が難しいことがあります。
相手に合わせて安心感を与える
そういうケースは、直球勝負を捨てて変化球で勝負をします。人は自分と違うものに対しては、不安を感じて心を閉ざすものです。
なので「私はあなたと同じです」というメッセージを相手に伝える必要があります。そのためにまず「相手に合わせる」ということが最大のポイントになります。
でも一体、何を相手に合わせればいいのでしょうか?それは「ペース」です。相手の話や動きのペースに合わせることは、信頼感を育てるために有効な手法です。これを“ペーシング”と呼びます。
このペーシングには大きく5つのテクニックがあります。「コミュニケーション能力向上のコツ5選」というこの記事のタイトルにもなっている重要テクニックです。では、順番に解説していきたいと思います。
1.相手と同じ動作をする
これは視覚で「あなたと同じ」だと伝える手法です。
相手が腕組みしたら、自分も腕組みする。相手が足を組み替えたら、自分も組み替える。相手がコーヒーを飲んだら、自分もコーヒーを飲む。
ただし、さりげなく同じ動作をすることがポイントです。すべてを完全にシンクロしてやってしまうと、反対に神経を逆なでするかもしれません。
2.相手の言葉をオウム返しする
これは聴覚に訴えかける手法です。「夏休みは家族でハワイに行ってきたよ」と相手が言えば「家族でハワイですか!」とあなたが返します。
「先月、プリウスを買ったんだよね」と相手が言えば「プリウスを買ったんですか!」とあなたが返します。
「今度の週末は女子大生とコンパなんだよ」と相手が言えば「女子大生とコンパなんですか!!!!」とあなたが返します。
このように、相手の言葉の最後を抜き出すといいと思います。ただし、あまり連発し過ぎると単なる確認作業ととられるので注意が必要です。
3.話し方のスピードとトーンを相手に合わせる
これはそのまま、言葉のとおりです。早口でしゃべる相手に対しては自分もそのように。
ゆっくりとかみしめながら言葉を発する相手には自分もそのように。もし逆にやってしまうと、相手にとっては強いストレスになります。
4.呼吸を相手に合わせる
これにより、目の前の相手に気づかれることなくお互いをリンクさせられます。
呼吸のタイミングが同じだと、文字通り不思議と「息が合う」ようになります。相手の肩・胸・腹のあたりを見ることで呼吸のタイミングが分かります。
5.相手の価値観に合わせる
これができると、強力な人間関係が構築できます。
「仕事のための人生じゃない。人生のための仕事ですよね!」とか。「カネがすべてじゃない。僕もそう思います!」とか。「僕も細く長くじゃなく、太く短く生きたいと思います!」とか。相手の価値観・信念に共感するということです。
しかし、時期尚早だと「ウソくさい」とか「わざとらしい」となるので、これは人間関係作りの“最終段階の仕上げ”という位置づけになるでしょう。
ここまで出来れば、お互いにとって望ましい関係の構築へと主導権をとることができるはずです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
前述の5つのテクニックのうち、最初の2つを試すだけでもおそらく十分に実感できるだけの効果があるはずです。
2つの実践によって、自分と同じ動作や言葉が繰り返されるため相手は「自分が肯定された」気分になり、安心感を持つのです。
時折、相手との関係性の変化を確認してみてください。
あなたが腕を組んだら、相手も腕を組んだ。あなたがコーヒーを飲んだら、相手もコーヒーを飲んだ。そんな風になってきたら、確実に距離は近づいています。
誤解してほしくないのは、この記事で伝えたいことは決して「相手に迎合して自分を捨ててしまいましょう」という提案などではないということ。
より良いコミュニケーション作りのノウハウとしての「相手の懐に飛び込む」ワザです。苦手な相手と自分との距離を縮めるテクニックです。
まずは、あなたが苦手意識を持っているその相手のことをよく観察することから始めてほしいと思います。
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。