私たちは1日どのくらいの時間、イライラを感じて過ごしているでしょうか?
とくに職場ではイライラを顔や態度に出せない分、余計にイライラ…。イライラというのは、怒りが爆発する一歩手前の状態なんです。
マズいのは、そのイライラが知らないうちに溜まって怒りのマグマとなり、やがて爆発してしまった時。
そうなると取り返しのつかない事態を招くケースも考えられます。
イライラを抑えるヒントがこの記事で見つかりますように。
あなたが職場でイライラしてしまう3つの原因
いきなり意外なことかもしれませんが、じつは、ついイライラしてしまう原因は自分自身の中に存在することが多いのです。
イライラの原因は次のどれかに関係してはいないでしょうか?
- 体の原因
- 心の原因
- 病気が原因
どういうことか1つずつ順番に見ていきましょう。
1.体の原因
睡眠不足や体の不調がある時は、誰でもイライラするものです。
機嫌が悪くて眉間にシワが寄っている時は、たいてい頭痛や肩こりがある、または寝不足で疲れていることが多いものです。
2.心の原因
心に起因する原因には、次の3つが挙げられます。
- 心配・悩み
- 価値観の違い(思い込み)
- 感覚タイプの違い
職場でイライラするのはどんな時なのか思いだしてみてください。
心配・悩み
心配事や悩み事がある時は、些細なことに過敏になってしまうものです。
目の前の仕事に集中できないので、ついイライラしがちです。仕事に追われて余裕がない時にもイライラがつのるでしょう。
価値観の違い(思い込み)
あなたの隣のデスクの先輩がこうだったらと想像してみてください。
- 机の上が乱雑で、あなたの机に物がなだれ落ちてくる
- ペン回しをしながら、ダラダラと仕事をしている
- 何か説明されても、さっぱり要領を得ない
- 見た目がチャライ
- 隣で貧乏ゆすりをする
- 話し声がデカい
- 「でも」「だけど」と必ず否定する
- 頭ごなしにガミガミ言う
- 食堂での注文にもたついて待たされる
- 洗面台に落とした髪の毛を片付けない
これらは、先輩の言動があなたの中の「当たり前」という価値観・思い込みと違うから許せないのかもしれません。
- 机の上は、整理整頓するのが当たり前
- ぐちゃぐちゃな環境で、仕事が進む訳がない
- ましてや、他人のテリトリーに侵入するなんてもってのほか
- ペン回しなんかしながらダラダラ仕事してやがって…
(けれど、彼のペン回しは集中している時の癖なのかもしれません) - 見た目がチャラいヤツは仕事も適当
- 貧乏ゆすりや騒がしいのは許せない
- もっと相手を尊重すべきだ
- 自分のペースと合わないのは、我慢できない
- 洗面台やトイレはみんな清潔に使うものでしょう
あなたの「当たり前」の基準がこのようなものだと、それはそれはイライラするはずですよね。
感覚タイプの違い
じつは、人には脳の情報処理の仕方には、3つの「感覚タイプ」があります。
- 視覚システム(Visual system)=V感覚
- 聴覚システム(Auditory system)=A感覚
- 体感覚システム(Kinesthetic system)=K感覚(味覚・臭覚・触覚)
この感覚タイプのどれか1つに偏っていると、人とのコミュニケーションが苦手だといわれています。
3つの感覚がバランスよく均等に使われる状態が理想的です。
これは、その人の本質とはまったく無関係で、単に「受け取り方」や「表現方法」の違いでしかありません。
「相手の言っている事がわからない。」
「あなたの言う事を理解してもらえない。」
そういうジレンマの原因は、この3つの感覚タイプの違いだけなのです。
そこを理解していないと、相手の言動にイライラしてしまいます。
3.病気が原因
自分の意思でコントロールできないイライラは、次のような病気が原因になっている可能性があるそうです。
- ホルモンバランスの乱れ
- 自立神経失調症
- VDT症候群
これらを治すにはきちんとした治療が必要なので、自己判断で放置せずに専門医に相談しましょう。
ホルモンバランスの崩れ
女性の場合は、ホルモンの変化が影響します。
月経前症候群(PMS)や更年期障害などの場合に、わけもなくイライラが増える傾向があります。
自律神経失調症
特に理由もないのにイライラする場合は、自律神経失調症が原因の可能性があります。
男女ともに共通するもので、生活習慣の乱れや過度のストレスが引き起こします。
イライラだけでなく、不眠や原因不明の痛み(頭痛・腰痛・腹痛)、動悸などの身体症状を伴う場合もあります。
放置すると「うつ」へ移行しやすい危険な状態でもあります。
VDT症候群
長時間のコンピュータ作業等で引き起こされる「目・体・心」に障害をきたす病気です。
心の症状は「うつ」とほぼ同じで、イライラもその症状のひとつです。
厚生労働省が平成14年に「VDT作業における労働衛生環境管理のためのガイドライン」を策定し、「目・体・心」の障害を予防するよう呼びかけています。
「VDT」は、Visual Display Terminalsの略で、コンピュータ端末のことを指します。パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなどもVDTに含まれています。
最近よく耳にする「スマホうつ」も、このVDT症候群に含まれます。
VDT症候群は長時間同一姿勢での連続使用による首の筋肉への過度の負担から「首こり」や「ストレートネック」になってしまうことと、目を酷使して慢性的な眼精疲労の状態でいることで引き起こされます。
イライラを抑える方法―職場で最も効果的な3つのこと
自分をイライラさせる「気に入らない相手」を変えることはできません。
自分にできることは、次のことです。
- ストレスを溜めにくい体調と環境を整える
- 自分自身を変える
- 職場の人間関係を円滑にするコツを身につける
1つずつ順番に見ていきましょう。
1.ストレスを溜めにくい体調と環境を整える
厚生労働省が推奨するVDT症候群の予防法は、1時間を超える連続作業をしないことです。
1時間の連続作業中に1~2回の小休止(1~2分休む)をとり、1時間作業したら10~15分ほど端末から離れる時間をつくりましょう。
これは休憩に限らず、端末を使用しない別の作業に切り替えることでも構いません。
また、「スマホうつ」の予防法は、長時間の連続使用をやめることと、就寝前1~2時間はスマホを使用しないことが基本です。
ストレスを減らすためには、
- 規則正しい<健康的な生活習慣を維持すること
- 栄養のバランスを整えること
- 質のよい睡眠を確保すること
が必要です。
それでもストレスがある程度溜まってしまうのは避けられないので、できるだけこまめに発散しましょう。
- お気に入りの画像をパソコンの壁紙に設定する
- 安らげるグッズを机に置く
- 好みの香りを楽しめるように工夫する
など、簡単にできることがたくさんあります。
関連記事 会社でもスタバでもすぐできる!スピードイライラ解消法8選
2.自分自身を変える
あなたにとって不快な相手を変えようとしても、たぶんそれは難しいでしょう。
他人を変えることは、誰にもできません。
イライラをなくすもっとも確実な方法は、あなたの感覚タイプの傾向を知ることです。
そして、他人にはあなたと違う傾向を持った人がいるということを理解しましょう。
自分の傾向を認めることで、あなたと他人の違いに気づき、しなやかに受け流せるようになります。
イライラの原因は、単なる「価値観の違い」です。
人はみな表現方法も違うし、感じ方も違うのです。それがわからないから、ついイラッとするのです。
わかってしまうと「なぁんだ、そっかぁ」と笑って済ませるようになります。
個人の感じ方の違いだということがわかれば、自然にあなたは変われます。
イライラする相手も1人の人間。悪気はないのかもしれない
あるいは、もしかしたらあなたをイラつかせる相手にも、同じように心や体の不調があるのかもしれません。
いつも怒りっぽい上司は、家庭では奥さんに頭が上がらず、家族にも相手にされていないかもしれません。
仕事が遅くてハラハラさせられる後輩は、実はじっくり取り組んで確実に成果を出す堅実タイプなのかもしれません。
そう考えると、イライラはどんどん解消されていくでしょう。
こちらの記事もおすすめです。
3.職場の人間関係を円滑にするコツを体得しよう
職場の人間関係を円滑にするポイントは以下の3つです。
これがうまくできるようになると、かなりのイライラが改善されるのではないでしょうか。
- イエスをもらう仕事の頼み方
- スムーズに仕事を断るテクニック
- 好かれる人になる方法
順番に見ていきましょう。
イエスをもらう仕事の頼み方
相手の名前を呼ぶ
まず、必ず相手の「名前」を呼ぶことを忘れないように。
きちんと名前で呼びかけることと、言葉の初めに「○○さんなら」「○○さんが一番うまいから」など、できるだけ名前を呼ぶようにします。
次に、できるだけ「相手のそばに近づく」こと。軽くボディタッチできれば、さらに効果的です。
ダブルバインドという質問テクニック
そして、「指示」するような表現は避けましょう。
「やってください」という指示ではなく、「○○さん、このイベントの情報にとても詳しいので、ぜひ資料をお願いしたいのですが、水曜と金曜のどちらまでなら都合がよいでしょうか?」というように、「質問」するのです。
この「質問」に相手が答えることで、あなたから押し付けられたという印象がなくなります。
「都合がいいですか?」という質問は、「都合がつかない」と言われれば、そこで終わりです。
ところが「水曜か金曜のどちらがいい?」と質問することで、「引き受ける」という前提で期日の返事をもらうことができます。
話すコツは、自信を持って少し早口に言い切ってしまうことです。
けっして申し訳なさそうに上目遣いに言ったりしないように。
スムーズに仕事を断るテクニック
上司から急ぎの仕事を頼まれた時、あなたは遠慮せずに断れますか?
「わかりました、やります!ただ、明日までに○○社への見積もりを作って持参する予定です。その交渉が終わってから取り掛かりますが、よろしいでしょうか?」
正面切って断るには、ちょっと気後れしてしまうような場合には、あなたの誠意とやる気をまず見せてから、スケジュール的に無理だということをアピールしましょう。
そうすると
「そうか、ありがとう。だけど今日中に仕上げて欲しいから、他の誰かに頼んでみるよ」と、上司の方が遠慮してくれるでしょう。
好かれる人になる方法
人の好き嫌いは、第一印象でほぼ決まります。大切なことは「笑顔」と「姿勢」です。
話を聞く時の姿勢で、相手に信頼感を与えることができます。少し前のめりな感じで身を乗り出すようにしましょう。
そして、「笑顔」で相手の目を見つめます。視線を合わせるのが苦手な場合は、目と目の間や鼻の付け根を見てもよいでしょう。
両腕の位置や動きは、できるだけ左右対称を心がけるようにします。
逆に、相手に反感を抱かせてしまう姿勢は、足を組む、ふんぞり返る、片肘をつくなど左右対称ではない腕の位置です。
これは、ぜひ気をつけたいですね。
また、相手の動作を真似する「ミラーリング」も、感じのよい人という印象を与えることができます。
相手がコーヒーを飲んだらあなたも同じタイミングで飲む。
相手が鼻をかいたら、あなたもポリポリと鼻をかいてみましょう。
さいごに
イライラは精神論や自己啓発などでは解決しにくい厄介なものです。まずは、あなたが何に対してイライラしているのかを自覚しましょう。
予防と改善の第一歩は自分自身のタイプを知ることです。
そして、この記事のイライラを抑える方法を1つでも2つでも試してみてください。
きっと、今より職場が過ごしやすくなるはずですよ。