自分の「脳内の神経伝達物質」などという見えないものについては普段なかなか意識することはできません。
逆に、「最近腹が出てきたな~」とか「生え際がヤバいな」といった具合に自分の体型や薄毛など、外見上目につくことは気にすることができます。
でも、これを意識することが心身の健康には非常に大切なことなので、是非これを機に認識を新たにしていただきたいと思います。
脳内神経伝達物質とは
神経伝達物質とは、脳内で神経細胞から次の神経細胞へと情報を伝達するための物質です。これは別名「脳内物質」と呼ばれることもあり、すでに数100種類が見つかっています。
それらの脳内物質の中でも特に“精神活動”の面で重要視されているのはドーパミン・ノルアドレナリン・セロトニンの3つです。
以下、それぞれについて解説していきます。
ドーパミン
働き
- 脳を興奮させる興奮物質
- 快感をつかさどる
分泌量が多すぎると
- 統合失調症(妄想・幻覚・幻聴)
- 依存症(アルコール・買い物・薬物・ギャンブル・インターネット)
分泌量が少なすぎると
- パーキンソン病
補足
パーキンソン病:
全身の筋肉が徐々に固くなり、自分で動かすことができなくなる病気。
この病気にかかった有名人:
天才宇宙物理学者のDr.ホーキング氏
伝説的ボクシング世界チャンピオンのモハメド・アリ氏
ハリウッド俳優のマイケル・J・フォックス氏
ノルアドレナリン
働き
- 戦闘と怒りに関係する興奮物質
- 生命の危機や外部からの不快な刺激と闘う
分泌量のバランスが崩れると
- 不安神経症
- 強迫神経症
- 対人恐怖症
- パニック発作
- 躁状態(怒りがおさまらない)
- キレる
- 不安で仕方がない
- うつ病
バランスが崩れる原因
- ストレス(大半)
- 本人の気質(ごくわずか)
バランスを取る方法
- セロトニン神経を強化する
補足
不安神経症:
何かにつけて過度の不安・心配がつきまとい、それが慢性的(6ヶ月以上)に続くのが特徴。
強迫神経症:
一つの物事に対してとらわれ、常にそれが気になってしまうという強迫観念が特徴。玄関の鍵を閉めたかどうかが気になり何度も確認しに戻る。
どうしても汚いような気がして何度も何度も手を洗ってしまう。電車の吊革が触れない、公衆トイレが使えないなど。
対人恐怖症:
人前での失敗経験などをきっかけに他者の前で極度の緊張に陥る症状。
パニック発作:
突然激しい動悸や呼吸困難(過呼吸)に襲われ死ぬほどの恐怖でパニック状態に陥る。
応急処置としては紙袋やビニール袋を口に当てて呼吸すること。これにより血中の二酸化炭素濃度を上げる。通常は5-10分程度で治まる。
セロトニン
働き
- ノルアドレナリンをはじめとする脳内物質のバランスを取る指揮者の役割
- 覚醒とリラックスをもたらす
- 興奮をコントロールする
- 外部からの刺激には反応しない
- 自律神経のバランスを整える
- 集中力を高める
- クヨクヨしなくなる
- カリカリしなくなる
分泌量が少なすぎると
- 全体の指揮者のため多くの脳内物質に影響が出る
- うつ病
- 不安感
- 強迫性障害
- パニック障害
分泌量が減る原因
- ストレス
補足
強迫性障害:
前述、強迫神経症に同じ。
パニック障害:
車の運転中や電車の中など「逃げられない状況」でまたパニック発作(前述)が起きるのではないかと怖くなり、次第に外出ができなくなる。
ストレスでセロトニンが不足する理由
なぜストレスがセロトニン不足を引き起こすのか?その理由は次のとおりです。
僕らはセロトニン全量のうち8割を「再取り込み」というリサイクルシステムに頼っています。
ストレスが発生することにより「糖質コルチコイド」というストレス物質が作られ、これがセロトニンのリサイクルシステムを阻害し、慢性的なセロトニン不足を引き起こします。
実際、うつ病の治療薬にはSSRIというセロトニンを増やす薬が使われています。
さいごに
- 心身の健康のためには“セロトニン”を不足させないことが最重要!
(他の脳内物質のバランスを制御するリーダー格であるため) - ストレスを我慢していると、ストレス物質(糖質コルチコイド)が蓄積し不調の原因になる
このセロトニンには他の脳内物質にはない特徴があります。
それは「分泌量を自分で意識的に増やせる」ということです。
その方法についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
関連記事 【保存版】幸せホルモン・セロトニンを増やす7つの方法+α
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。