何気ない一言がとり返しのつかない失言になることもある

大失態の女性 仕事

自分の何気ない一言でその場を一瞬で凍りつかせてしまった。あなたにはそんな経験はありませんか?つくづく言葉というものは難しいなと感じます。

文章であれば書くのは大変ですが、あとからいくらでも書き直すことができます。言葉を発するのは簡単ですが、あとから編集がききません。

商談中の大失態

プリウス

以前、僕がディーラーで新車の営業をしていたときのことです。この日の商談相手は、かなり優柔不断なお客さんでした。

たとえば車の色一つを決めるのにも「ああでもないこうでもない」と迷って迷って迷い倒して、恐ろしく時間がかかるのです。

完全な読み違い

当初僕は、そのお客さんとの商談時間を2時間と見積もってその後に次の商談予定を入れていました。

ところが、商談開始から1時間が経っても何も決まらないのです。「このペースだと次の商談に間に合わない」と感じた僕は、全てのことを選択肢を狭めて2択で選んでもらうように誘導しました。

すると迷う要素が減った分、グレード・オプション装備・色など必要なことがどんどん決まっていきました。「ふぅ良かった。これで間に合いそう」。

とんだ伏兵の存在

ところがです。最後の最後に「付属品」の選択でつまずきました。

新車の付属品に「ナンバーフレーム」というものがあります。これはナンバープレートの「枠」のことなんですが、実は純正品にも何種類かのタイプがあります。

普通は問題にもならないようなポイントです。大抵は「あ、ノーマルタイプで」とか「それ要りません」で終わりです。

次の商談予定まで残り10分のタイミングでここでひっかかりました。

僕は焦り、そして正直イラッとしました。「ノーマルの黒タイプ」か「ワイドのシルバータイプ」か。ここでまた「ああでもないこうでもない」が始まりました。

決定的な一言

そこうしているうちに約束の時間になり次の商談相手のお客さんが来店してしまいました。

その状況に焦った僕は思わずこう言ってしまったのです。「正直、どっちでも変わりませんよ!」。相手の顔色がサッと変わりました。「しまった!」と思ったけどもう遅い。

「どっちでもってどういうことだよ!」

「やめたやめた!もうこの店で買うのはやめた!!」

お客さんはそのまま出ていってしまいました。不用意な一言で僕は目の前の契約を逃したのです。そしてお客さんを傷つけてしまいました。

抜け落ちていた視点

お客さんにとっては、家の次に高い買い物。営業マンにとっては数ある商談のうちの一つ。この意識の違いが生んだ失言でした。

日常生活の中でも

並んで座る2人の足元

営業に限らず日常生活における周囲の人とのコミュニケーションでも同じだと思うのです。

たとえば
「君って若干シャクレてるよね―」とか「何言ってるか分かんないからはっきりしゃべってよ」とか「最近一気に老けたよね」とか。

こちらは軽いノリのつもりでも、相手にとってはそれが重大なコンプレックスである可能性は高いのです。

口を開く前に一瞬、言われる相手の立場に立つ。相手はそれを聞いてどんな気分になるか。そういう意識を日ごろから持っていれば安易に不用意なことは言えなくなるはずです。

思ったことをポロリと口に出すのは簡単だが、一度口に出した言葉は取り消せない。このことを忘れないようにしたいものです。

そうすればお互い気持ちよく過ごせると思うのです。

あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。