「タバコをやめたいのにやめられない」は思い込み?言い訳?

タバコを吸う男 健康

「よーし!これを機にタバコをやめるぞ!!」

タバコの値上げや子どもの誕生をキッカケに、禁煙を決意する人や禁煙に再挑戦する人は多いでしょう。

JTの「平成25年全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人男性の平均喫煙率は32.2%だったそうです。

ピーク時である昭和41年の83.7%と比較すると、過去45年間でなんと51%も減少したことになります。

年代別では20代男性の喫煙率減少幅が最大となっており、昭和41年の83.5%から平成25年の29.9%へと実に53.6%も減少しています。

喫煙者を対象にした別の調査では、喫煙者全体の7割もの人が「禁煙したい」と回答しています。

店舗の全面禁煙や値上げといった喫煙を取り巻く環境変化に関わらず、潜在的には過半数の喫煙者が禁煙を望んでいることがうかがえます。

タバコをやめる順序は心の準備→行動の順が正解

灰皿に立てられた吸殻

なぜ、タバコをやめることは難しいのでしょうか。

世の中の全てのものごとには因果関係があります。つまり、「原因」があって「結果」があるということ。

もしあなたが過去に禁煙に失敗したことがあるのなら無論、禁煙が失敗するのにも原因があります。

タバコをやめるために手持ちのタバコを捨ててもムダ。

その一つが、いきなり「行動」にフォーカスしている点です。禁煙するのなら、まず禁煙の準備を心にさせないといけません。

心に「タバコをやめる準備」ができていない状態で、手もとのタバコとライターをごみ箱に捨てたとしましょう。

それで次の一本を吸うためのハードルを上げる効果はありますが、そのまま禁煙が成功するとはちょっと思えません。

きっと、その辺のコンビニでまたすぐにタバコとライターを買ってしまうでしょう。

「タバコをやめる心の準備」といいましたが、それはタバコに対する間違った「思い込み」に気づき、事実を正しくとらえ直すことからはじめる必要があります。

次章からは、タバコに関する3つの思い込みについて解説していきましょう。

1.「タバコはおいしい」という思い込み

ティーカップとタバコ

1つめは「タバコはおいしい」という思い込みです。

ちょっと昔のことを思い出してみてください。あなたがタバコを吸い始めたキッカケは何ですか?

きっと最初は興味本位やただのカッコつけだったのではないでしょうか?

多分あなたは初めて吸ったタバコを肺の奥までくゆらせて「何てうまいんだ!」などとは思わなかったはずです。「こんな苦いもん吸えるか!」と咳き込んで唾を吐いたのではないですか。

それが知らず知らずに生活の一部や習慣になっている。慣れというのは恐ろしいものです。

子供の頃と食べ物の嗜好が変わるというのはあることです。子供の頃は嫌いだった納豆や貝の刺身、光り物の寿司が好きになったりということはあります。

喫煙の習慣により舌が麻痺して味覚が衰えてしまう。

しかし、タバコに関しては例外なく子供の頃の味覚が正常で吸い続けているうちに舌が麻痺してしまっているのです。

舌には味覚を感じる「味蕾(みらい)」と呼ばれる器官があります。そしてその機能はタバコ・刺激物・加齢によって「衰える」ことが知られています。

ソムリエや料理人がタバコを吸わないのはそのためです。

今、タバコを吸って「うまい」と感じているのは味覚・嗅覚によるものではなく、気分的な感覚に過ぎません。

「タバコがうまい!」は単なる気分のすり替えである。

食後や仕事の後など、一服する場面の気分(満足感・達成感)をタバコの味にリンクさせて、脳が「タバコ=気分がいい」とか「タバコ=おいしい」と錯覚しているだけなのです。

「食後の一服が最高に幸せ」「脂っこい物のあとは特に最高」と喫煙者はいいますが、普通はそんなものがなくても食後は幸せです。

タバコがなければ幸福を感じられないのは不幸なことなのです。

タバコには、ニコチン・タール・その他の添加物しか含まれていません。

冷静に考えると、こんな毒がおいしいはずがないのです(タバコ業界に洗脳さえされていなければ)。

タバコのCMは今でこそほぼ見かけることがなくなりましたが、相変わらずTVドラマや映画では俳優にタバコを吸わせるという手法で消費者の潜在意識にメッセージを送り込んできます。

また、タバコ会社はスポーツチームのスポンサーになることでイメージアップを図っています。

タバコ会社の莫大な費用を投下したマーケティング戦略により、タバコのイメージは「体に悪い」「健康を損なう」といったネガティブなものから、「リラックスできる」「カッコいい」といったポジティブなものに書き換えられていったのです。

2.「タバコで落ち着く」という思い込み

そもそも、タバコを吸うことのメリットは何でしょうか?

「リラックスできる」あるいは「ストレス解消になる」と答える人も多いのではないかと思います。

それなら、タバコを吸い始める前はどうやってリラックスやストレス解消をしていたのでしょうか。

元々は、タバコが無くても生きてこれたワケです。子供の頃には、タバコなんて吸ってなかったのですから。

こういうと時々こんなことを言う人がいます。

「子供と大人では受けるストレスの大きさが違う」

だけど、それは本当はおかしな話だと思うのです。

たしかに、ストレスの「種類」は変わったかもしれないけれど受けるストレスの「大きさ」は大人のほうが大きいとは限りません。

たとえば、学校で毎日のようにいじめの標的にされていたら?

たとえば、2ヵ月後に受験本番を控えた受験生だったら?

たとえば、最後のインターハイ決勝直前の選手だったら?

あるいは、オリンピックの代表選手やプロアスリート達は私たちの想像を遥かに超えたストレスにさらされているはず。でも、それをタバコで解消しようとしたりはしないはずです。

パフォーマンスを落として自分の首を絞めるだけですから。

「タバコがないとストレスに対処できない」というのはつまり、幻想でしかないのです。

そして「タバコを吸うと落ち着く」というのは順序が逆です。イライラしたりストレスを感じたりするようになったのはむしろ、タバコを吸い始めてからではないですか?

喫煙で摂取したニコチンが切れてきたときに、イライラなどの症状が現れてそれを抑えるためにまた、タバコを吸う。

そうして一時落ち着いた気分になるわけですが、そもそもこのサイクルは喫煙によって作られた「仕掛け」ではなかったでしょうか?

こういった体験の繰り返しは報酬系に作用して認知に歪みを生じさせ、習慣依存を強化することになります。

しかし、タバコを吸うことで得られる満足感の正体は単に「タバコを吸いたい」という欲求が満たされたことによる満足が大半を占めているのです。

ムカつきながら吸うタバコが美味しかったためしはありますか?むしろ、タバコへの欠乏感が余計なストレスを生んでいるのです。

「習慣」や「依存」という“変化を避ける便利な言い訳”にどうか安住しないでください。

3.「タバコをやめるのは難しい」という思い込み

タバコをはさむ指

WHO(世界保健機関)によれば、タバコに含まれるニコチンはアヘン・大麻・コカインと同列の依存性薬物であり、その依存性はコカインと同等ともいわれています。

こんなふうに聞くと、先入観を持ってしまった大半の人は「麻薬と同等の依存性があるなら、やめられるハズがない」と思って自分で禁煙の壁を高くしてあきらめてしまうのです。

何かに挑戦するときには「勝つつもり」で臨まなければ勝てるはずがないのは、あなたもご承知でしょう。

負ける心の準備をしながら臨んで、勝てるはずがないのです。また、周りの人が禁煙に失敗したという話を聞く度に「禁煙は難しい」という思い込みは強化されていきます。

喫煙家は「禁煙は難しい」と世間に刷り込まれ過ぎています。

この世からタバコが無くなったら誰が一番困るでしょうか?愛煙家のあなたではなく、タバコ産業に携わる人たちですよね。

では、誰に洗脳されてしまったのかもわかることでしょう。

さいごに

マッチとライター

とにかく今の時代、真贋を問わず情報量が多すぎます。

アクセスした情報によって右往左往・一喜一憂するのではなく、情報はあなた自身が主体的に取捨選択してください。

「禁煙をする」と決めた自分にとってマイナスの情報はすべて要りませんから、切り捨ててください。

だって、タバコと同等の依存性を持つコカインならあなたもきっと全力でやめようとするハズなんです。

依存性の情報など、禁煙することと全く関係ないのです。

私自身は1日3箱半~4箱を20年間吸い続けた末に4年前に完全に禁煙し、今もノンスモーカーです。

言い訳を探さなければ、禁煙は意外とカンタンです。

あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願っています。