自分の中にずっと居座るこのつらい気分は怠惰や甘えといった生活感情なのか、あるいは病気なのか。
日常的な落ち込みの延長線上の「感情」と「病」の領域の境界線には明確な定義がないのが現状です。
うつは一律には定義できない
「2週間以上気分の落ち込みが続く場合はうつを疑う」という診断基準が果たして、すべての人に当てはまるものでしょうか?
たとえばこれが、3年間付き合った恋人と別れた2週間後だったら?
医学部に2年続けて落ちて3浪が決まった2週間後だっから?
このように、個人の状態は千差万別であり性格も十人十色。大切なことは普段からのセルフチェックです。
自分にとっての「この兆候が出たらかなりヤバい」というサインを知っておく必要があるのです。
ちなみに、3度のうつを経験した私の場合の判断基準は以下のようなものです。
うつの判断基準
私の中ではその境目を判断する3つのサインがあります。
- 好きなことにも興味が持てなくなる
- 気分転換することもできない
- 四六時中ひとつのことが頭から離れない
あくまでもこれは私の場合です。
うつを疑った際の対応策
私は上記の3つのサインが発動すると
- 睡眠
- 食欲
- 倦怠感
そういった身体症状が出ていなくても、自分の中では感情と病気のボーダーを越えつつあると自覚します。
そして外部刺激を減らし、ラクな時間を増やすという自己防御体制に入ります。
仕事では意識的に完璧主義をやめ、ズボラモードに切り換えます。
ズボラというと無責任に聞こえるかもしれませんが、自分が潰れることのほうが会社にも迷惑をかけることになるのです。
日常生活での対応
たとえ気分転換はできなくても、自然の中に身を置くようにします。帰り道の公園でベンチに座って木を見上げるとかでもいいです。
そして、ゆっくりお風呂に入ります。
昔、悩みごとで頭がいっぱいだったときに立ち寄った寺の住職に「ゆっくりと風呂に入れば悩む時間が減る」。
“少煩多浴”というアドバイスを貰ってからそうしています。
四六時中悩みごとが頭から離れなくても、少なくとも風呂に浸かっているときだけは悩みを忘れられます。なので、長風呂は脳が休まります。
予防線を張っておく
自分なりのボーダーとボーダーを越えたらとる行動。これを決めておくと、本格的に調子を崩すことを防げます。
思い込みを外す
それに加えてもう一つ大事なことは「自分の悩みは特殊なんだ」という思い込みを外すことです。
悩みを抱えた人はそう思い込む傾向があるのですが、それは気のせいです。
人により異なること、共通すること
同じ体験をしても、それに対する反応は人により異なります。つまり同じ事象から受けるストレス=悩みの「大きさ」は人により異なるということになります。
本来、ストレスやつらさは相対化できる性質のものではありません。この点でいえば、「ストレス点数表」というものも本当は実用的ではないかもしれません。
しかし、悩みの「種類」は大多数の人に共通しているものです。そもそも、人間が抱える悩みなんて似通っているものです。
今目の間にあるその悩みもきっとよくある悩みで、特に珍しいものではないのかもしれません。
そのことに気づくと、少しカメラを引いて現状を見られるようになります。
自分自身の現在地を俯瞰できれば解決策は見えやすくなります。
思い込むと動けなくなる
「自分の悩みは特別なんだ」という思い込みは危険なのです。
思い込むと、悩んでいる自分に酔ってしまうようになりそこから抜け出そうという行動が取りにくくなるのです。
そして、その場にとどまるうちに「悩み」という毒が体中に回ってしまいます。
さいごに
こんなことはよくあることです。同じような人は世間にあふれているのです。
あなたもぜひ、そのことに気づいてください。今すぐにはそう思えなくても、実際にそうですから。
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願っています。