「ないものねだり」をし続けるのは欲ではなく人間の本能

ペンダントをかじる女性 remove2

「ないものねだり」をするのは子供だけではありません。人はいつだって自分にないものに対して憧れを抱き、その憧れがいざ自分のものになると、今度はまた別のものに憧れを抱くようになります。
「欲深い」とかそういうことではなくて、それが人間の本能で、どこまでいってもその繰り返しなのかもしれません。
だけど、それに振り回されているうちに短い人生は終わってしまいます。今、手元にあるものを一度見つめ直してみませんか。

いつも自分には価値がある

朝もやに立つ女性
憧れる対象がモノなのか、外見なのか、スキルなのかは分かりませんが、あなたが何かに強く憧れを抱いたとしても、間違ってはいけないことが1つあります。
それは「自分は無価値ではない」ということ。いま憧れている「それ」を持っていないからといって、あなたは何も持っていないわけではありません。あなたが卑屈になる必要はまったくないのです。
「それ」だけに焦点を当てクローズアップすると「持っているか」「持っていないか」の二元論になりますが、人間の価値はそれだけで決まるわけではありません。
同期入社のあの人は昨年、立派な一軒家を購入した。なのに自分はいまだに家族4人でアパート暮らしだ。
「家」だけをクローズアップすると、それを持っているか、持っていないかの話だけになります。新築を購入した彼は独身で交際している人もいないけど自分には、帰ると明かりのついた部屋があり家族がいる。どちらが幸せかなんてわからないでしょう?
隣の芝生はいつだって青く見えるものですが、隣からはこちらの芝生が青く見えているのです。

失って初めて分かるもの

窓に手を当て絶望する男性
持っているものは、持っていることが当たり前すぎてそのありがたさに気づいていないことが多いものです。
当たり前すぎて意識もしてなかったその状態が、当たり前ではなくなった時に初めてそれを意識する。「健康は失って初めてありがたさが分かるもの」とはよくいわれることです。

  • 手術のために入院して絶食をしたとき。
  • インフルエンザの高熱で寝込んだとき。

あなたにも健康のありがたさが身に染みた経験はないでしょうか?あるいは、こんなことも当たり前と思っていませんか?

  • 彼女がいること
  • 家族がいること
  • 両親が生きていること
  • 会社が倒産しないこと

実際には、どれ一つとっても「当たり前」ではありません。そのことは、きっとそれを失ったときに分かるのでしょう。

現状に満足する=向上心を捨てる?

夕日を眺める女性のシルエット
「今あるものに感謝しよう」「現状に満足せよ」というと、「向上心を捨てろ」という意味にとられることがあります。しかし、それらは全く別物です。現状に不平不満を言うことと、向上心を持つこととは決定的に違います。
ここでいう現状とは自分を取り巻く「他人」や「環境」といった外的要因のことです。それらは自分の意思でコントロールできますか?それに対して不平不満を言えば前向きになれますか?
これに対し向上心とは、自分の内側に向いたベクトルで、自分のスキル・知識・経験・体型など内的要因のことです。それらは自分の意思でコントロールすることができます。だから、大いに不平不満や危機意識を持てば良いでしょう。今の自分に満足したとき、成長は止まりますから。

コントロールできるものにフォーカス

優しく青い瞳
「コントロールできないものに関しては満足するが、コントロールできるものに関しては満足しない」。これが正しいマインドだと思うのです。
しかし残念ながら、これが「逆」になっている人が世の中にはとても多い気がしています。そうすると、自分を不幸に感じることが増えます。他人のせいにして八つ当たりすることもあるでしょう。
でも、まずは「コントロールできること」に焦点を当ててみれば見える世界はきっと変わってきます。「環境に対する不平不満をいってる場合じゃない」「もっと他にやることがある」。きっとそう思えるんじゃないかと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか?
最後に、「ないものねだり」に関して世界中で読み継がれている物語の一節を引用したいと思います。もう60年以上も前の作品ですが、人間の本質は変わっていないようです。

「ずいぶん急いでいるんだね」王子様は言った。
「みんな、なにをさがしてるの?」
「運転士も知らないね」
すると今度は反対方向に、また明かりをつけた特急が一台、
轟音をたてて走り去った。
「もう帰ってきたの?」王子様は聞いた・・・。
「同じ列車じゃないんだ」鉄道員が答えた。
「すれちがったんだよ」
「みんな、自分のいたところに満足できなかったの?」
「人は、自分のいるところにけっして満足できない」
鉄道員が言った。
明かりをつけた三台目の特急が轟音をたてて行った。
「星の王子様」 サン=テグジュペリ

行ったり来たりしている間に人生は終わります。自分の基準で、内側にベクトルを向けていきましょう。
「自分の基準」の詳細はこちらの記事をお読みください。
「幸せになりたい」が口癖の人。今のあなたは不幸なのですか?」
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。