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「トレードオフ」という言葉はMBA用語やマーケティング用語として使われることの多い言葉ですが、この概念はきっと常にやることがいっぱいでストレスフルなあなたの助けになるでしょう。
トレードオフという言葉自体は、経済政策・経営・マーケティング・軍事など実に様々な場面で使われるのですが、その意味はシンプルな概念です。
【トレードオフ】trade-off
「一方を追求すれば他方は犠牲にせざるを得ない」という関係・状態のこと。
そしてこのような、“一方を得ようとすると他方を失う関係性”は日常に多く存在しています。
トレードオフの例
では、実際のトレードオフにはどんなものがあるのかみてみましょう。
1.失業率と物価の関係
元々は、イギリスの経済学者が指摘したこの関係性を指して「トレードオフ」と呼んだことが起源だとされます。
失業率を改善するために景気拡大政策をとると、物価問題が深刻になり、逆にインフレを抑えるために景気縮小政策をとると、失業率が増加します。
2.商品在庫と顧客需要の関係
在庫管理にはトレードオフがつきまとうものです。商品の在庫を減らすと、顧客の注文に応じきれず販売機会を逃します。
逆に、在庫を増やすと売れ残りの保管のために余計な費用がかかります。
3.水道設備と料金の関係
水道管を太くすれば供給できる水量は多くなりますが、敷設費用が高くなり結果的に水道料金が高くなります。
逆に、細い水道管を敷設すれば敷設費用と水道料金は安くなりますが、供給できる水量が不足します。この場合の「供給水量」と「水道料金」の関係がトレードオフの関係です。
4.駅の数と移動時間の関係
「地下鉄の駅の数」と「移動時間」もトレードオフの関係にあります。
駅の数が多ければ多いほど、目的地に近い駅で乗り降りできるようになり乗客の利便性は向上しますが、駅が多いので低速走行区間が多くなり、目的地までの移動時間は増えることになります。
逆に移動時間を短縮するには駅の数を減らしたり、快速や特急のように途中の駅を通過する車両を増やすことが必要となります。
その結果、利用できる人が制限されたり「目的地に近い駅がない」など乗客の利便性を損なうことになります。
5.カエルの卵の数と大きさの関係
トレードオフの関係は、自然界にも存在しています。
子孫を確実に残すためには、数が多いほど有利にはたらく一方で、1つずつの卵は大きいほうが、個体としての生存率は高くなります。
「大きい卵を数多く残せること」が子孫繁栄の最善策には違いないけれど、母体のエネルギーには限りがある以上、両立は困難。
そこで「小さい卵を多く生む」か「大きい卵を少し生む」という2つの策のどちらかを選択せざるを得なくなるのです。
トレードオフの概念を生活に導入する
生活の質を高めるうえでも、このトレードオフの概念が役に立ちます。日常生活では主に「ToDoリスト作成」と「時間の使い方」に応用します。
「トレードオフ」とは「取捨選択すること」と言い換えてもいいでしょう。
僕たちは自分に与えられた自由時間を、学ぶことにも、体を鍛えることにも、念入りに洗車することにも、昼寝にも使うことができます。
1日8時間の仕事時間内の作業も同じことです。あなたはもしかすると、その8時間のToDoリストに「新規開拓」も「商談」も「クレーム処理」も「顧客フォロー」も目一杯詰め込みたいのかもしれません。
でも、それぞれのタスクはお互いにトレードオフの関係にあることがあります。
朝から晩まで全力で新規開拓をしながら、全力でクレーム処理はできないし、全力でクレーム処理をしながら、全力で商談もその準備もできないのです。
「何かを達成するには他の何かを犠牲にしなければならない」という関係がトレードオフの関係です。
この場合、それぞれを選択した場合のメリットとデメリットを考慮して「今、何をやらないのか」の決定を下すことが求められます。
「お金」という資源は使えば無くなることが理解できても、「時間」という資源は何故か使っても無くなる感覚があまりない。
現実には“時間”も有限である以上、僕たちは「あれもこれも」ではなく、「あれかこれか」しか選べないのだと理解しておく必要があります。
まとめ
いかがだったでしょうか？
完璧主義なあなたは「本来両立できないこと」をどちらもタスクに入れて悩んではいないでしょうか？
大切なものとそうでもないものの“取捨選択”が欠かせません。そうでなければ、どれも達成できなくなる可能性が高いのです。
あなたのToDoリストの中にも両立できない「トレードオフ」のタスクがないか、この機会に確認してみてはいかがでしょうか？
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。
