1.「感情の伝染」と「共振共鳴」

おんさ【音叉】 音響測定・楽器の調律などに用いる道具。均質な細長い鋼の棒を U 字形に曲げ、中央に柄をつけたもの。先端をたたくと、一定の振動数をもつ音を発する。 出典:三省堂U字形の音叉の一方を叩くと、もう一方にも振動が伝わり音が鳴ります。もし、近くに同じ固有振動数を持つ別の音叉があればそれも鳴ります。この現象を共振共鳴といいます。 あらゆる物体は「固有振動数」を持っています。もしも外界から来た振動がこの固有振動数と一致すると、その物体も一緒に振動しはじめてしまうのです。 僕たちは、どんなに体重の重い人が乗ったとしてもそのブランコを揺らすことができると知っています。 そのためにするのは一定のリズムで背中を押すことだけ。最初は小さな揺れであっても次第にその揺れは大きくなります。これは、その人の乗ったブランコの固有振動数と背中を押すリズム(振動)が一致したからです。この現象のことを「共振」と呼びます。 もしも、コンクリートでできた橋の固有振動数と通行車両や突風による揺れが一致すると、橋は大きく揺れます。建物の固有振動数と地震による揺れが一致すると、建物は激しく揺れます。 ワイングラスの固有振動数と声の振動を一致させると、グラスを割ることだって可能です。バラエティ番組でみたことがあるかもしれませんね。そして、音に関する共振現象を特に「共鳴」といいます。
2.人間関係にも「共振共鳴」はある

2-1.職場内での「情動伝染」という感情の伝わり方
友達が爆笑してたからそれにつられて思わず笑ってしまったり。彼があまりにも楽しそうにはしゃぐのでこちらも楽しくなったり。子どもがあまりにもうれしそうに話すのでこちらもうれしくなったり。妻がひどく落ち込んでいたからこっちまで落ち込んでしまったり。同僚と自分のイライラ感が伝染し合って職場の雰囲気がピリピリしたり。 そういったことは、あなたも経験があるのではないでしょうか。 ある人の感情が、他の人に同様の感情的な影響をもたらす事象は、社会心理学では「情動伝染」と呼ばれています。 個人の感情は周囲の人の感情に影響を受けるものです。特に集団内においては、ある1人のメンバーの感情がどんどん周りに波及していくことが知られています。 とくに、怠慢・あきらめ・無気力といったネガティブな感情は伝染しやすいようです。そのため、集団内にやる気のないメンバーがいるとその無気力感が伝染し、集団全体のモチベーションが下がるというような現象が起きます。
2-2.情報伝染は共感することとは違う
情動伝染は「共感」とは違います。共感というのは、相手が感じていることを主体的に自分も同じように感じたり理解しようとすることです。意識的・意図的にする行為ともいえます。 それに対して、情動伝染はもっと自然発生的な反応です。感覚的には「つられる」という言葉がしっくりきます。「他人の言葉・態度で傷ついた」とか「他人の言葉でイラついた」というのとも違います。情動伝染とは、自分も相手に影響され「同じ感情」を抱くことなのです。そう、感情というのは伝染るのです。3.職場の人間関係に「情動伝染」を応用
相手に影響され、自分も同じ感情を抱くことが情動伝染です。では、これを感情コントロールや人間関係改善に応用することはどのように可能になるのでしょうか。ネガティブ・ポジティブの両方の感情についてそれぞれ分けて考えてみることにしましょう。3-1.ネガティブ感情

3-2.ポジティブ感情

4.人間関係を難しく考えない
とにかく「自分1人だけはハッピーな気持ちでいる」こと。これがポジティブな情動伝染を起こすために唯一必要なことです。あとは自分が周囲と接することで自然にその感情が伝染するのです。 「意のままに相手を何とかしたい」と考えているうちは、相手に自分のイライラが伝わるだけで状況は変わりません。 相手の行動を変えるもっとも賢いやり方は、相手の態度に関係なく「自分がいつも笑顔でいること」です。そうすると、時間がかかっても自分の笑顔に共振共鳴して相手が変わっていく可能性が大いにあります。 「相手をコントロールしてやろう」と思うことから余計なストレスが生まれることを忘れずに。まとめ
いかがだったでしょうか? 最後に今回のポイントを軽く整理しておきます。- 感情は良くも悪くも伝染するもの
- 自分の属する集団の雰囲気の一端は自分が作っている
- 自分だけは常にハッピーな気分でいること