コミュニケーションが足りないだけで人間関係は険悪になります。
それは、互いの心に知らずに棲みついた「疑心暗鬼」が原因です。
昔はそこそこ仲が良かったけど、今では顔を見るのも嫌な相手。あなたにもそんな相手がいませんか?
コミュニケーション不足は疑心暗鬼を生む
何か特定のキッカケがあったという訳ではないけれど、次第にお互い別の人とばかり付き合うようになり、疎遠になり気がつくとこんな関係になっていた。
SNSでもリアルでも案外そういうことはあるものです。
しかし裏を返せば、わずかなキッカケで人間関係は好転する可能性があるということでもあります。
親友だった相手ほど嫌悪感は強くなる
もともと仲が良くなかった相手に対する嫌悪感に比べると、過去に仲が良かった時期のある相手と疎遠になったときのほうが相手に対する嫌悪感・疑心暗鬼はより強くなるものです。
きっとそれは、お互いのことをよく知っているからでしょう。
相手の考えていることがある程度想像できるからこそ腹も立つし、今さら何を話せばいいのか分からないし、場合によっては今さら気まずくて関わりたくないとさえ思うかもしれません。
でも、その相手が同じ職場の同僚だったら?
関わりたくないと思っていても難しい話です。
このようなコミュニケーション不足は互いに疑心暗鬼を生み、ストレスを増大させ、双方にとって不利益が多いものです。お互いに今足りないのは、コミュニケーションをとる回数だけ。
このことに関して次のような興味深い話があります。
囚人のジレンマ
出典:http://iftaf.jp/
凶悪事件の共犯者2人が捕まり留置所に入れられたときのこと。
警察は十分な証拠をつかむことができず、2人に自白させようとそれぞれ別々の部屋で次のような司法取引をもちかけました。
「もし、おまえが自白したら本来5年の刑を3ヶ月に減刑してやろう」
「ただし、おまえの相棒にも既にこれと同じ話をもちかけている。おまえが黙秘を通して相棒が自白したら、おまえの刑は10年になるぞ。」
共犯者2人は連絡が取れない状況に置かれ、互いに疑心暗鬼に陥ります。
- 自分が黙秘を通しても、相棒が自白してしまえば自分だけ10年の刑になってしまう
- 2人ともが同じことを考えて自白してしまえば、犯罪自体を認めることになり2人とも本来の5年の刑を受けることになる。
- 自分が自白して相棒が黙っていた場合には、自分の刑は軽くなるが、相棒を裏切って警察に「売る」ことになる。
この状況は「囚人のジレンマ」と呼ばれます。
もしも相棒への信頼が確固たるものならば、自分も黙秘を貫くのがベストです。
しかし、実際の結果はそうではありませんでした。2人共が自白して、ともに本来の5年の刑を受けることになったのです。
現実の取り調べでも、これと同様のケースでは2人とも自白して「共倒れ」の状況に陥る確率がもっとも高いそうです。
「2人ともが自白してしまう状況が2人にとって一番良くない」
そのことはもちろんお互いが分かっていたはずなのに。
これを避けるベストの選択肢は、「自分が10年の刑をくらう覚悟で相手を信頼して黙秘を通すこと」しかし現実にはリスクを犯さず、自分だけ自白して助かろうとするのです。
さらに、この状況で2人の共犯者が連絡を取り合えるようにすると、今度は話し合いによって一緒に「黙秘する」という傾向が高くなるそうです。
これは、コミュニケーションによって信頼関係が確立されることの裏付けです。
さいごに
以前は仲の良かった職場の同僚となんとなく気まずい。
案外、それもコミュニケーション不足なだけかもしれません。コミュニケーションの頻度で関係性は確実に変わるものです。
「自分がこんなに嫌っているんだから、相手も自分を嫌っているはずだ」。
本当は嫌われてなどいないのに、勝手にそう思い込んでいるだけかもしれません。
もしかすると、自分一人で勝手に敵意を育てているだけかもしれません。そういうことは本当によくあることなのです。
でも、自分から歩み寄るのは何となく気まずいし自尊心が許さない。
お互いにそう思っているから、互いの関係はいつまでも対立したままなのかも。
今度、職場のトイレやエレベーターでバッタリ出会ったときに、軽い声かけからコミュニケーションのキッカケを掴んでみてはどうでしょう。
どっちに転んでも、今以上に悪い関係にはもうならないはずです。
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。