退職をすると決めたらやはり気になるのが、有給消化とボーナスではないでしょうか。
いくら自己都合で退職するとはいえ、会社に気兼ねして損をしたくはない!
退職前の有給消化とボーナスをめぐっては、しばしば会社とトラブルになることもあるため注意が必要です。
この記事では、退職時の有給消化とボーナスにまつわる3つの重要なポイントについてお話ししたいと思います。
1.退職前の有給消化中でもボーナスを受け取れるのか?
会社員として働いている以上、有給休暇を取得する権利があります。有給休暇とは、読んで字のごとく「給料の支払いがある休暇」のこと。
全労働日の8割以上出勤しており、入社日より6ヶ月以上経過している場合には、年間10日間の有給休暇が発生するようになっています。
退職する前に未消化の有給休暇が残っている場合、全て消化あるいは買取してもらったうえで退職したいものです。
退職前の有給消化について考える時、多くの人は「有給消化期間がボーナス支払日と重なった場合、ボーナスは支払われるのかどうか?」という疑問にぶつかるでしょう。
ボーナスはこれまでの労働に対する報酬であり、今後の労働を奨励するために設けられたものです。
退職手続き中の方に関して言えば「これまでの労働への対価」として受け取る権利はありそうですが、これからもその会社に貢献していくというわけではないため、ボーナスについて疑問が生じるのも無理ありません。
結論からいうと、「有給消化期間中にボーナスが支払わるかどうか?」は各企業の就業規則によります。
もし就業規則に「在職中の者全てにボーナスを支払う」といった旨の記載があるのであれば、有給消化期間中であるかどうかに関係なく、ボーナスを受け取る権利が全ての社員にあります。
しかし、場合によっては有給消化期間中であることを理由にボーナスが減額されることもあります。これについては一概には言えませんので、必ず所属している会社の就業規則をすみずみまで読み、退職願を提出する前に総務にこっそり確認しておくようにしましょう。
退職とボーナスに関してはこちらの記事が良くまとまっています。
⇒ ボーナス前後の転職に!よくある質問と損をしないためのポイント | nanapi
2.退職前の有給消化中に他社に勤務しても、退職する会社からボーナスを受け取れるのか?
次の就業先が決まったうえでの退職であれば、「少しでも早く次の仕事に慣れておきたい」という気持ちはよく分かります。しかし、正式に退職していない限り、まだ退職する会社の一員であることには変わりありません。
原則として、退職する会社の社会保険や雇用保険の適用を受けながら、他の会社に正社員として就業することはできないとされています。
「正社員はダメでもアルバイトとしての勤務なら許されるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、たとえアルバイト勤務であっても「副業禁止」をうたう会社の就業規則に反しているものと見なされ、ボーナスの減額対象となる可能性があります。
これは退職後に自営で事業を始める場合にも当てはまります。適正に引き継ぎを行なわなかったうえ、有給消化期間中に自らの事業に着手していることが発覚すると、退職する会社の就業規則に基づきボーナスの減額などの罰則を受ける恐れがあります。
そもそも有給休暇とは、週の労働時間の増加に伴い心身の健康リスクが上昇するのを抑える目的で設けられた制度です。
やはり、有給消化期間中は次の仕事の準備ではなく、心身の保養に充てるべきかもしれませんね。
3.退職前の有給消化やボーナスに対して否定的な上司がいたら
会社を退職後、次の仕事が見つかるまでブランクが空いてしまうと、収入がゼロの期間が続くことになります。
そうした事態に備えて退職前に少しでも多く蓄えを残しておきたい!ボーナスを受け取った後に退職届を出したい」というのが辞める側の心情でしょう。その気持ちはよく分かります。
しかし現実には、ボーナス支給前に退職願いの提出を求める会社が多いのではないでしょうか。退職前の有給消化期間中のボーナスについては上司に申し出ても、権利を認めてもらえないことがあるかもしれません。
もちろん、会社の就業規則に「退職手続き中の者には賞与は支給されない」という旨の記載がある場合にはボーナスを受け取ることはできませんが、そうでない限り、その会社の一員として働いている以上、他の社員と同様にボーナスを受け取る権利があります。
驚くかもしれませんが、労働者の労働条件について定めている労働基準法には、ボーナスに関する記載はありません。
それどころか、就業規則にボーナスの項目を設けていない会社もあるようです。
法律上規定されていない以上、違法として訴えることは難しいものと思われますが、会社の対応に疑問を感じており、自分ではどうすることもできないと判断した場合には、会社に雇用され働く者として、会社を訴えてみるのも一つの手です。
退職を申し出るやいなや、上司が顔を曇らせ、有給消化やボーナスを認めようとしないなら、それも1つのパワハラです。
どうにもならない場合には、最終手段として最寄りの労働基準監督署に一報を入れるのも手です。
まとめ
「退職を決めた後の有給消化期間中にボーナスがもらえるかどうか?」については、所属している会社の就業規則によります。とは言え、ボーナスに関する規定が就業規則にない会社もあります。
ボーナスについて疑問に思うことがあれば、退職届を提出する前に上司などに問いただし、疑問を晴らしておくようにしましょう。
より確実性を重視して、ボーナス支給後のタイミングで退職願を出す人が多いのも頷けます。また、そのことを「ズルい」などと思う必要はありません。
退職予定の社員が有給消化期間中であることを理由に、会社がボーナスを支給しないことは違法行為にあたります。これは会社員として当然の権利なのです。
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。