“人間は易きに流れる生き物である”
水が高いところから低いほうへ流れるように人間も困難よりは楽なほうに流れやすいものです。楽なほうに流れて望む未来が待っていればそれでもいいでしょう。
もし「毎日がつまらない」と感じているのなら、その理由の一つはおそらくこれだと思います。
単調な流れ作業は楽だけどつまらない
僕は学生時代にいろんなアルバイトを経験しました。バーテンダー・トラックの運転手・旅館の住み込みなど。
コンビニ弁当の製造ラインで働いたこともあります。
これまでの仕事に比べると、圧倒的に体力的に楽でした。流れてくる弁当に惣菜を2、3コ乗せるだけですから。他のことを考えながらうわの空でもできる。
そこに特別な集中力も必要ない。その代わり、驚くほど時間が経つのが遅かった。
忙しかったり、集中していたり、緊張していたりすれば、その状態から解放されてフッと時計を見たときに「あと2時間で今日も終わりか」とか「お、ラスト1時間切ったな」と思うでしょう。
時給で働いている身としては時計は気になります。基本的にいつも「早く終わらないかな」と思っているのです。
だけど、頻繁に時計を見ると前回から針が進んでなくてガッカリするので、なるべく見ないようにガマンします。
“弁当を50コ流すまで時計は見ない”と自分で決めてもやっぱりチラチラ見てしまいます。そして、ウンザリするのです。「うぇ~。まだあと3時間もあるのか」と。
たしかに、こういう単純作業は考えなくていいので楽です。楽だけど楽しくはなく、孤独と精神的苦痛を伴う仕事でした。
夢を叶える努力は楽しいけど楽ではない
僕は学生時代にあるきっかけで俳優を目指した時期がありました。芸能事務所のオーディションを受け、数百名の中から運よく合格することができました。
入学金30万円はパチプロの友人に出世払いで借りました。そして養成学校に入り下積みレッスンが始まりました。
当時は地方大学の学生だったので、養成所と大学の二足のわらじ。これは当初の想像以上に負担が大きいものでした。
一人暮らしのためで、家賃・食費など固定の生活費がかかります。また、遊びたい年頃なので友達や彼女との交際費もかかります。
20歳あたりはその他もろもろの出費がかさみます。
それに加えて毎月のレッスン料・レッスンに通うための交通費が必要経費として上乗せされました。
僕はそれを夢を叶えるための「先行投資」だと思って、昼夜を問わずお金を稼ぐために懸命に働きました。
当時は今のようなネット社会ではなく、オフラインで汗を流すというお金の稼ぎ方しか選択肢はありませんでした。
朝は倉庫でピッキング作業、日中はレンタル屋でバイト、夜は着替えてバーテンダー。バーが2時に閉店して片づけ・ゴミ出しが済んで3時。
ママたちとご飯に行って、アパートの部屋に帰るのは朝4~5時。
そしてまた朝9時から倉庫でピッキング作業。
今考えてもそれは決して楽とはいえない生活でした。でも最高に楽しく、充実感に満ちた日々でした。
「楽しい」と「楽」とを混同しない
これ以外にも思い当たることがたくさんあって確信しました。結局、「楽しいことは楽ではないし、楽なことは楽しくはない」ということを。
僕の大好きなTHE BLUE HEARTSというバンドがあります。そのバンドのボーカリストの言葉を引用したいと思います。
楽しいと楽は違うよ。
楽しいと楽は対極。
楽しいことがしたいんだったら、
楽はしちゃダメだと思うよ。甲本ヒロト
「毎日がつまらない」と嘆いているあなた。自分の行動に思い当たることはありませんか?
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。