photo by Piotr Pawłowski
元ヤンキースの松井秀喜選手の座右の銘でもあるこの言葉を、あなたも一度は聞いたことがあるかもしれません。
心が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる
運命が変われば人生が変わる
ここに、人生を変えるには何から手をつけるべきか、その答えがハッキリと示されています。脳の構造・仕組みに基づき順序立ててアプローチを重ねれば大げさでなく、人生はいつからでも変えることができるのです。
今回するのはそんなお話です。
人生を変えるための出発点
もしあなたが自分の現状に満足ができないからといって「今から人生を変えてやる!」と意気込んでみたとしても問題が大き過ぎて何からすればいいのか見当がつきません。
そこで、前述の言葉をもとにゴールから逆算していきます。
- 人生を変えるには運命を変える
- 運命を変えるには人格を変える
- 人格を変えるには習慣を変える
- 習慣を変えるには行動を変える
- 行動を変えるには心を変える
どうやら心を変えることが出発点のようです。
心はどこにあるのか?
では出発点である「心」はどこにあるのでしょうか?多分このように尋ねると、多くの人が左胸に手を当てて「心はここにあるよ」と答えるでしょう。
たしかに僕たちが「心」という言葉を使うときには、「心を動かされる」「心を痛める」「心を悩ます」といった感情・気分的なニュアンスがそこには含まれています。
また感情が動かされた結果、心臓がドキドキしたりします。このことからも、「心は心臓に宿る」というのもあながち間違いとはいえないのかもしれま
せん。
しかし、この仮説には次のような反例もあげられます。
仮に心のありかが「心臓」だとするならば、病気で心臓を患っている人は心や精神も患っているということになるのでしょうか?
あるいは重大な病気により人工心臓を移植した人には自分の心がなくなってしまうのでしょうか?きっと、そんなことはありませんよね。
また、“心”と“体”はしばしば対比する概念としてとらえられることがあります。
つまり、“精神”と“肉体”は別の存在であるという認識です。この考え方によると「心は体の中には無い」ということになりますが、本当にそうでしょうか?現代科学では心のありかは「脳」だと考えられています。
心とは脳が生み出すものである。言い換えれば、心は「脳の内的現象」ということ。それが、現代の脳科学者の見解です。
ここに、「心を変えること」は「脳の思考回路を変えること」であるといえるわけです。
行動を司る脳へのアプローチ
人の行動に直結するのは「やる気」です。そして、この「やる気」に関係しているのが脳の大脳辺縁系と呼ばれる部分です。
この大脳辺縁系をうまくコントロールすることがやる気をコントロールすることにもつながり、結果的に行動の効率を上げることにつながるのです。
小さな変化で脳をだましつつ大きな変化に
大脳辺縁系には次のような特徴があります。「新しい変化に対しては恐怖を引き起こすが、それが気づかないほど小さなものであればうまくいく」
つまり、目標が途方もなく大きなものであっても、最初の一歩は小さければ小さいほど良いということです。
たとえば「資格取得のための勉強を毎晩2時間やる」と決めていてもどうしても気分が乗らないときには、とりあえずTVを消して机に向かう。
そして、散らかった机の上をキチンと片づけてみる。参考書を読むのでなく、パラパラめくって眺めてみる。こうした動作をしていると自然と気持ちが整ってきます。
ルーティンは脳に必要な儀式だった
「試験勉強の前に限って机や部屋の片付けをしてしまう」。こんなことはあなたにも覚えがありませんか?これを、勉強をはじめたくないためにする時間稼ぎや逃避行動だと思っている人は多いかもしれません。
でも、無意識にしていたこの行動こそが実は「脳の恐怖反応」を回避する方法だったのです。
何かをはじめる時は一度に大きな変化を起こそうとしないこと。最初は足踏みレベルでコッソリと前進することです。そして、コッソリ前進し続けることが大切です。
脳に変化を乗り越えさせる
大脳辺縁系には、周囲の小さな変化には警告を発し大きな変化に対しては恐怖を感じるという性質があります。
しかし変化を乗り越えなくては人は成長しません。
今までと違った「大きな変化」を起こすためには脳に警告を出させないレベルの小さな変化を数珠つなぎし、やる気を持続させることが有効なやりかたです。
「目立たぬように、気づかれないように進め」
ほふく前進しながら敵地へ近づくコンバット部隊。赤外線センサーの下をくぐってお宝に近づくルパン三世。
鉄条網の下をくぐって進む脱獄者。気づかれないように前進するとはそんな感じでしょうか。そんな地味な変化を積み重ねて目的地を目指すのです。
脳は命令を嫌い質問を好む
たとえば彼女に「前のデートで着てた服の色を答えて」と命令されてもさっぱり思い出せません。
でも、「前のデートで何色の服を着ていたでしょう?」と質問されると思い出しやすくなるのです。
- 脳は小さな変化には警告を発しない
- 脳は命令を嫌い質問を好む
この二つの脳の習性を利用すると、たとえば次のような事態にも応用できます。
「どんな新事業がマーケットに最もインパクトがあるか」という大それたことを考えると、脳はすぐに警告を発し思考停止に陥ります。
そこで「こんなビジネスあったらいいなと思うことは?」という小さい質問を自分に投げかけると、それが呼び水となり思考がスムーズに流れ出します。
このように、脳の仕組みを知れば思考回路も変わります。そして思考回路の変化が積み重なると「心」が変わるのです。
冒頭の言葉のとおり、心が変わるとそこからは半自動的に人生まで変わっていきます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
心が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる
運命が変われば人生が変わる
人生を変えるには心から変える必要があります。そして、心を変えるとは思考回路を変えることです。
次の4点は特に大切なので忘れないでください。
- 心を変えると半自動的に人生は変わる
- 心とはすなわち脳の思考回路のこと
- 脳が気づかないほど小さな変化をつなげる
- 脳は命令を嫌い質問を好む
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。