「今の仕事を辞めたい」「別の会社に転職したい」。一度も思ったことがないという人には会ったことがありません。
そう思いながらも多くの人は今の仕事を続けるわけですが、その理由は何でしょうか?
- 辞めたとしても次の仕事がみつからないから?
- 嫌なことから逃げず忍耐力を養うべきだから?
- 一つの会社でキャリアを形成するべきだから?
- 周囲を気にして辞めにくいから?
僕は仕事を辞めることを奨励する立場ではありません。問題なのは「辞めない理由」だといっているのです。
無意識に不幸を受け入れている危うさ
もし現状に不満があるなら、何故それを受け入れているのでしょう?いえ、積極的に「受け入れている」という認識はないかもしれません。
しかし、不満のある現状を「維持している」あるいはそれに対して「何の行動・抵抗もしない」ということは無意識にその状態を受け入れているということに他なりません。
あなたが電車で「この人痴漢です!」って言われたときにそれに対して何も言わなければ、認めているのと同じですよね。本質的には、それと同じことなんです。
本当は不満なのに「何もアクションを起こさない」のであれば、周囲にも「それで満足している」と思われるのです。さらに悪いことには、自分自身でもそう思い始めます。
「こんな仕事は今すぐ辞めたい」「さっさと転職したい」そう思いながらも現状に留まり続けることで、自分の中でもまたいつもの「夢物語」「一過性の熱」「言ってみるだけ」くらいの非現実的な妄想としてスルーしてしまいます。
そして「不満」「不幸」である自分自身を容認してしまう。「そういうものだ」と受け入れてしまっているんです。やがて、それがセルフイメージ(自分の思う自分像)になります。
こういう人はやがて「ボロボロになって頑張る自分」や「不幸な自分」といったものに酔ってしまう傾向があります。
感覚が麻痺してしまうといってもいいでしょう。それでやり通せればいいのでしょうが、ストレスの蓄積は心身に変調をきたすこともあります。
人間は変化を嫌う生き物
どんなにやりたくない仕事でも、嫌な同僚ばかりの職場でも環境を変えるためには、大きなエネルギーが必要になります。
そして新しいことを始めるには、多少の苦痛も伴うでしょう。それよりは、現状がどれほど劣悪な環境であっても今のままの状態でいるほうが、人間にとってはラクなのです。
これは恒常性維持機能(ホメオスタシス)とよばれる動物に備わった生命維持の働きによるものです。
ホメオシタシスについてはこちらの記事をお読みください。
>>パニック発作に陥るまで気づかないフリをしたストレスのツケ
本能レベルの反応である『恒常性維持機能』が働くために、人間は本能的に変化を嫌うのです。たとえそれが、どんなに好ましい変化であっても本能ではそれを「不快」だと判断します。
その結果、不満を抱いたままの現状を維持してしまうのです。つまり、あなたの不幸・不満は自分が無意識にそれを選ぶから、望んでいるからそこにあるのです。
こうして、不幸や不満という状態が維持されているのです。
「仕事辞めたいレベル」はどの程度なのか?
嫌な人間関係<転職
ストレスの大きさがこうだと、嫌な職場でも我慢してとどまれるのです。
- 今の職場にいたら激務で過労死してしまいそうだ
- 精神的に病んで、ノイローゼになってしまいそうだ
仮に、そんな切羽詰まった状況だったらどうでしょうか。
今の職場で過労死>転職
これでも、今の状態を維持するほうがラクでしょうか?さすがに死ぬくらいなら、今の仕事を辞めて環境を変えるほうが100倍マシなのではないでしょうか。
過労で壊れた経験から
僕には過去に辞めどきを見誤って倒れた経験があります。
「過労死寸前の満身創痍状態でなお最前線で戦う俺は格好いい」そんなふうに思っていた時期が確かにありました。
睡眠時間2時間でも朝からアンプル剤を飲んでハイテンション。今から思えば、まあよく生きていたなと思います。
「エース社員」とうまくおだてられ、8:30~翌2:30まで2年間くらいずーっと馬車馬のように走らされました。
その期間は自分もすでに熱病で浮かされていたんでしょうね。何の疑問も持たず、プライドだけで最前線に立ち続けました。
でも結局続かず、そのときの僕は会社にしがみつくことよりも生きることを選びました。生きるために、その会社での仕事を辞めたんです。
そして、そのときの選択のおかげで今があります。後悔はしていませんし、選択は正しかったと思っています。
当時のことはこちらの記事に書いてあります。
>>パニック発作に陥るまで気づかないフリをしたストレスのツケ
そんなに嫌ならサクッと転職すればいいのに
「何をやっても上手くいかない運命なんじゃないか」
「会社にコキき使われて捨てられる運命なんじゃないか」
「一生悪い男に騙され続ける運命なんじゃないか」
あなたがもし、そんなふうに思っているとしたら大間違いです。
不幸な今の状況は「あなたの運命」などではありません。あなたの今の状況は、自分自身が無意識に選んでとどまっている場所であることがほとんどです。
あなたは人生の“被害者”などではありません。自らそれを望み、その“役”についているだけなのです。
「自分の意志で、自分の足でその場所に立っている」ことをはっきり認識することです。もしあなたが「もっと別の役につきたい」と思ったなら、あなたはいつでもそうすることが出来るのです。
それにはまず「無意識を意識すること」が第一歩です。
不幸だと感じながらも、その職場にとどまり続ける理由は何ですか?もしも変化を怖れているだけなら、半歩踏み出してみませんか?
さいごに
まず、現状に目を向け「無意識を意識」することが大切です。
「仕事を辞めること」「転職すること」に対して罪悪感を抱くのは仕方ないことだとしても、変化を怖れて今の環境にただ居座るのは思考停止・怠慢であり、自分の人生の操縦権の放棄です。
人間が成長するため、今よりも良くなるためには現状を維持し続けようとする「ホメオスタシス」と戦うことは避けて通れません。
仕事・学習・ダイエット、どんな分野であっても同じことです。
今回は少しばかり耳の痛い厳しい内容になりましたがこれが本当に大切なので、心の片隅に留めておいてください。これを読むあなたは、過労で倒れるべき人ではありません。
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。