過度のストレスや劣悪な人間関係が原因となり、正常な業務に支障ををきたしはじめた。「何かがおかしい」と思って飛び込んだクリニックでは適応障害と診断された。
今のあなたがそんな状態で休職中ならば、早期回復のために医師から処方された薬をきちんと飲むことはもちろん、休職期間を「どう過ごすか」が重要になってきます。
ここでは、適応障害と診断された場合の休職中の過ごし方に関する5つの注意事項についてお伝えします。
適応障害の休職中の過ごし方1:朝の過ごし方を見直す
病院で適応障害と診断されて休職する場合、特に一日の始まりである朝をどう過ごすかが重要となってきます。
うつ病の治療においては薬剤療法が主流となっていますが、薬剤療法に次いで注目されているのが光療法です。
秋から冬にかけてうつ病の発症率が高くなると言われていますが、これには日光を浴びなくなることが関係しているようです。
「冬季うつ」と呼ばれるこれらの患者に対して5000~1万ルクスの光を毎日浴びさせたところ、数日から数週間で症状が改善されたというケースが数多く報告されています。
朝、カーテンの隙間から差し込んでくる日光は1万ルクス程度とい言われていますので、適応障害の方は、朝目が覚めたらカーテンを開け、日光を浴びながら思いっきり伸びをする習慣をつけてみてはいかがでしょうか?
休職中の朝の過ごし方を見直すだけでも、適応障害の経過には大きな差が出ることでしょう。
適応障害の休職中の過ごし方2:夜更かしをしない
うつ病では、朝特に調子が悪く、夕方に向かって調子が良くなる「日内変動」という現象がみられます。一方、適応障害の場合は、「朝の抑うつ→日中の情緒不安定→一日の終わりが近づくにつれ、さらに調子が崩れる」というパターンの繰り返しです。
そして「明日も同じような状況が続くのではないか?」と思うと、夜ぐっすり眠ることができなくなります。
とは言え、夜更かしは禁物です。適応障害にとっては、休職中の夜の過ごし方が非常に大事なのです。たとえ眠れなかったとしても、ただ横になるだけでも十分体を休める効果があります。
適応障害で休職中の方は、夜更かしをせず、夜23時を過ぎたら床に就くことを心がけるようにしましょう。
適応障害の休職中の過ごし方3:周囲の言葉を鵜呑みにしない
国連の世界保健機関(WHO)による定義にもある通り、適応障害というのは「何らかのストレスによって引き起こされる病気」のことを言います。
一方、うつ病の場合は不安の対象がぼんやりとしたものであることが多いようです。
もしかするとあなたは、身近な人物が発したある言葉が胸に突っかかり適応障害になり、休職せざるをえないほどの状態へと陥ってしまったのかもしれません。
ですから、家族や友人から気になる言葉を発せられたとしても、あまり深く考えないようにすることが大切です。
もしご家族に適応障害と診断された方がいらっしゃるのであれば、その方との接し方や、その方に対して発する一言ひとことには注意が必要です。
他の人を元気づけるのに有効な激励の言葉でも適応障害の方に発した場合、元気づけるどころか、逆にその方を追い込んでしまい、悪循環となってしまう恐れがあります。休職中の適応障害の方と接する際には思い出したいことです。
適応障害の休職中の過ごし方4:睡眠と趣味に時間を費やす
適応障害を克服するカギは、「とにかく寝る」「好きなことに没頭する」ことです。すでに申し上げた通り、適応障害がストレス性の病気である以上、病気の原因となっているストレスから遠ざけつつ、休職期間を過ごすことが重要となってきます。
前述したように、適応障害は「朝抑うつに悩まされる→日中の間、情緒不安定な状態が続く→その日の終わりに近づくにつれ、調子が崩れる」といったパターンの繰り返しでありますが、自分にとって何か心地よい出来事などがあった時には、自ずと気分が良くなる可能性が高いです。
よって、適応障害の方は趣味を通じて気を晴らすことが重要です。罪悪感を取り払い、「自分の好きなことを思う存分する」という過ごし方に切り換えることで、思ったよりも早く症状が改善されるかもしれません。
なお、適応障害の方は何らかの睡眠障害を抱えていることが多いようです。もちろん、その睡眠障害には不眠も含まれます。
しかし、繰り返しになりますが、たとえ眠れなかったとしてもベッドで横になるように心がけましょう。
適応障害の休職中の過ごし方5:生活のリズムを整える(崩さない)
「起床時間」「睡眠時間」「3度の食事時間」この5つを動かさないことです。
適応障害の治療法のひとつに「生活療法」と呼ばれるものがあります。精神科や心療内科では、カウンセリングと同じくらいこの生活療法が重要な意味を持っているものと考えられています。
特に休職中は1日に時間の区切りがなくなることから昼夜の生活が逆転してしまいがちですが、そのような生活を続けていては、身体はエネルギーを余計に消耗するだけです。
前述の5要素「起床時間」「睡眠時間」「3度の食事時間」を決めておくなど、過ごし方を少し意識するだけで身体は余計なエネルギーを使わずに済み、その結果、症状が徐々に和らいでいきます。
適応障害の患者にとっては、休職生活がまさに治療そのものです。休職中にしっかり休養をとれるかどうかは、その後の休職期間の長さにも影響してきます。
しっかり休養をとれば、短い休職期間で済むかもしれません。病院にて適応障害と診断されたら、「適応障害の休職中の過ごし方」に関する以上の5点に留意しつつ、しっかり休養をとることを前提に過ごすようにしましょう。
今は休むのが仕事。趣味に没頭するのが仕事とお考えください。
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。