「僕たちは物事をありのままにはとらえていない」というと驚くかもしれませんが、これは本当です。
それは僕たち全員がそれぞれのフィルターを通してこの世界を見ているからです。
僕たちが解釈していることはあくまでも現時点での、「自分にとっての真実」に過ぎないのです。
認知という名のフィルター
この個人のフィルターのことを「認知」といいます。
認知(にんち)
心理学等で、人間などが外界にある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程のこと。出典:Wikipedia
同じ時代に同じ国に生きるている同じ人種であれば、それほど極端な差異はないはずですが、それでも個人差はあります。
そしてもし、この認知に「歪み」があると物事に対するとらえ方に大きなズレが生じることになります。
認知の歪みに関してはこちらの記事をお読みください。
自動思考がはじまる
物事のとらえ方にズレを生じた結果どうなるのか?認知の歪みは「自動思考」を招きやすくなります。
これは「考えようと意識して考えることではなく、文字通り自動的にはじまる思考」のことです。そして多くの場合、その自動思考はネガティブな思考です。
それは次の4つに分類できます。
1.二分割思考
「味方」でなければ「敵」あるいは「白」でなければ「黒」といった具合に、物事を2つに分割してその中間を認められないという思考パターンです。
本当は、この部分は白だけどあちら側は黒だとか、見方によっては白にも黒にも見えるとか、黒に近いグレーだとか、白が強いグレーだとか。
実際にはそういった「中間」であることが世の中一番多いのです。
2.決めつけ思考
「朝ガムを踏んづけたから今日は1日ろくなことがないだろう」「プレゼンを失敗したから、自分にはもう絶対に出世はないな」。
このような、将来に対する決めつけが多い思考パターンです。これは1つのことを拡大解釈した結果、先々のことについてもそれ以外の可能性が考えられなくなっているのです。
「AだからBのはず」というような考えに陥ったときには、AとBの間に実際に因果関係があるのかどうかを再度冷静に検討してみることです。
おそらくほとんどの場合、何の因果関係もないはずです。
3.予想思考
「自分の退社後もいつも彼は部長と残っている。きっと自分をダシにして部長に取り入ってるに違いない」「今朝は先輩が挨拶してくれなかった。何か自分が怒らせるようなことをしたに違いない」というような、他人の心を勝手に読んでしまう思考パターンです。
これは何の根拠もないことを疑心暗鬼的に妄想しているだけです。それが単なる勘違いだったと気づくまで膨らみ続けます。
これを止めるには相手とコミュニケーションをとることです。自分の勘違いなのか否かを直接確かめるしかありません。
自分の中だけで勝手に敵意を育てるのが一番マズいことです。なぜならその敵意はやがて相手にも必ず伝わるのですから。そうなるともう自分の妄想だけでは済まなくなります。
4.過度の一般化
「新しいことを始めるといつも自分は失敗する」「うちの課ではみんなが深夜23時まで残業している」「今週も絶対に休日出勤で休めるはずがない」というような「いつも」「みんな」「絶対に」といった思考パターンです。
このような場合には「そうではないことは本当に一度もないのか?」「例外はないのか?」と問いかけてみましょう。ある命題が「真」でないことを証明するには反例を一つもってくればよいのです。
例外をみつければ、自分が身の回りのごく狭い範囲のサンプルのみで判断していたに過ぎなかったことや、それが単なる思い込みだったことに気づくはずです。
これら4つの認知の歪みに心当たりがあれば、ふとした出来事がきっかけとなり自動思考が起動しやすい脳の状態にあるといえます。
もしこうした発想が頭にモヤモヤ浮かんできたら「俺、バカじゃないの?」と即座に打ち消してください。
「白と黒の間のグレーが世の中一番多い」「必ずしもそうとは限らない」という言葉を頭の中で繰り返して、他の可能性がないかどうか探してみてください。
反例が一つでも見つかれば、その考えは「真」ではないのです。このように自動思考が発動する前の段階でモヤモヤ感を潰してしまうことが最も大切です。
もしお時間があれば、こちらの記事もあわせてどうぞ。
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。