ストレスを引き起こす要素には不安・怖れ・後悔・緊張・身体的苦痛・圧迫感・心の傷などいろいろありますが、「怒り」もそのうちの1つの要素でしょう。
それも、ストレスのうちかなりの割合を占める要素であるはずです。この「怒り」という感情について理解を深めることはストレスをコントロールするうえで大きなヒントになるはずです。
「怒りはストレスを引き起こす要素の1つ」だといいました。では、その怒りを引き起こす「要素」にはどんなものがあるのでしょう。
まずはそこから、話を進めていくことにしましょう。
自分を怒らせることができるのは自分だけ
一番初めに確認しておくべき大前提があります。その大前提とは次のようなものです。
“世の中の誰一人、自分を怒らせることはできない”
「いつもトロい後輩にマジでイラつくんですけど」
「上司にムカついて血圧上がって仕方ないよ!」
「周りの連中にイライラさせられっ放しだよ!」
そんな声も聞こえてきそうですね。でも、自分以外の誰も自分を怒らせることはできないのです。
あなたをイラつかせるもの
たしかに、普通に考えてみればイライラを生み出す状況は、日常生活の至る所に潜んでいます。
同僚に「おはよう」とあいさつしたのに無視された。
大事な商談に向かう途中、道路工事で大渋滞に巻き込まれた。
真夏の外での待ち合わせで友人に20分待たされた。
このように、自分の行動・心理状態が他人の言動や出来事などで制限・影響される状況で人間はイライラや怒りを感じるものです。
怒るかどうかは選べる
ですが、同じ状況に遭遇しても人によって反応は様々です。ある人は無視されるのは平気でも、待たされると激怒するかもしれません。
その状況で「怒る」か「怒らない」の選択は自分次第なのです。
俗に「気が長い」とか「気が短い」とか言ったりしますがあれは起きた状況に対して考えて“行動”するか、考えずに“反応”するかの違いです。
状況を前にして、考えて“行動”することを選ぶことはできるのです。
怒りを引き起こす2つの要因
怒りを引き起こす要因は大きく2つに分けられます。すなわち「ストレス」と「自分の思考」です。
A.ストレスが生み出す怒り
ストレスが引き起こす怒りは、また新たなストレスの引き金になりかねません。
たとえば、ノルマに対する不安からイライラしていたときに、同僚から「お前なら大丈夫。頑張れ!」と言われたとします。その時つい「うるさいな。分かってるよ!!」とキツい口調で言い返してしまいました。
同僚も「なんだよアイツ?!」となりますよね。結果、人間関係も職場の雰囲気も悪くなります。
結局、あなたが目標を達成できなかったとしましょう。そうすると、その同僚が自分の陰口を言ってるような気がしてくる。
「へっ、ザマねえな」と。
そうなればもう負の連鎖。無限ループです。怒りはストレスの原因であり、結果でもあるということです。
B.自分の思考が生み出す怒り
これはさらに8つの型に分けられます。一つひとつ見ていきましょう。
1.非難
他人の意図的な行動のせいで、自分が被害を受けたと思い込むこと。相手がワザと待ち合わせ時間に遅れたせいで自分の帰宅が遅くなったなど。
2.すべき思考
「〇〇すべき」という自分のものさしが常に正しいと考え、物事が自分の思い通りにならなかった場合に怒りが湧いてくるというもの。
3.フィルタリング
「思い込み」というフィルターを通して相手の良い面を取り除き、悪い面だけに焦点を当てて見ることで怒りが湧いてくるというもの。
4.誇大化
実際にはささいなことでも、大げさにとらえてしまい怒りを生むもの。
5.ラベリング
たった一つの欠点だけを見て、「相手の全部が悪い」と存在自体を全否定。この思い込みが怒りにつながる。
6.一般化
たった一度悪いことが起きただけで「自分はいつもこうだ」と思い込むこと。「いつも失敗する」「うまくいった試しがない」など。
7.二択化
「白か黒か」「0点か100点か」「善か悪か」といった極端な思考。中間はない。この考え方がイライラを生む。
8.憶測
マインドリーディングとも言われる。相手の考えていることを否定的に想像し、それを真実だと思い込む。まったく根拠はないのに、この思い込みが怒りにつながる。
こうして見てみると、心理学でいう「認知の歪み」と似ていることに気がつきます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
「怒り」という感情も心の動きの一つです。不安も緊張も、怖れも怒りも含めて、自分の心をコントロールするためには「認知の歪みを正す」というひとつの方法論があると言えそうです。
イライラの継続が招く結果に関しては、こちらの記事をお読み下さい。
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。