上の記事では怒りを引き起こす「要素」について書きました。今回は怒りが引き起こされた結果「起きること」についての話です。
まれに怒りが行動のパワーになることもありますが、それは一時的なものです。怒りが生むパワーは「悔しさをバネに頑張る」というのとは性質が違います。
基本的に、怒りが招くものに生産的なものはありません。
怒り・イライラが招く不幸の種は大きく分けると4つあります。一つひとつ見ていくことにしましょう。
1.人間関係の悪化
起きた状況に対して、考えて“行動”するのではなく、考えずに“反応”するのがイライラや怒りの本質である、というのは既に話したとおりです。
何も考えずに“反応”することはマイナスの結果を招くことに繋がります。たとえば、相手の売り言葉に買い言葉で返してしまい、怒鳴り合いになったり。
何か批判的なことを言われて、思わず机を叩いて立ち上がってしまったり。
このように“反応”することは、人間関係を悪化させる結果を招きます。何かの事象が起きて「イラッ」としたらあるいは「ムカッ」ときたらまずは深呼吸するなどして、いったん冷静になってから行動するようにしましょう。
深呼吸したほうがいい理由はこちらの記事をお読みださい。
「強烈な怒りが湧いたときには『深呼吸』をするべき科学的根拠 」
よく言われるように「短気は損気」なのです。
2.集中力の欠如
今週中に契約をあと3件取らないといけない。プレゼンの資料も明後日までには作らないといけない。午前中にA社とC社に見積りのFAXを入れないといけない。
14時にB社に納品して…16時にD社に納品して…。今夜の先輩の送別会用に記念品も買いに行かないといけないな。ああ、その前に先輩の引き継ぎにも同行しないとしけないんだった。
こんなにやるべき事があると気が焦り、イライラしてきて何から手を付ければいいのか分からなくなります。
いろんなタスクが同時に気になってしまい目の前の一つのことに対して集中できなくなったり、その結果、ミスを連発したり忘れっぽくなってしまいます。
人間の脳は2つ以上のことを同時に考えると、「忙しい」と感じるそうです。
あまりないかもしれませんが、自分1人対10人でケンカになった場面を想像してみてください。
こういう場合は、全員に囲まれないように細い路地に逃げ込んでから、正面から来る一人ずつを相手にするのが常套手段です。一人ずつを確実に倒していけば、いずれ10人全員を倒せます。
そんなイメージをもってやってみてください。
3.自律神経のバランスが乱れる
イライラが長期間続くと、睡眠の状態に変化が現れる場合があります。いわゆる睡眠障害(入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒など)というものです。
また、明らかな食欲の増加・減退がみられることがあります。特にセロトニン増加作用のあるチョコレートやアイスがやたらと欲しくなります。
このような変化は体からのストレスサインです。イライラの原因を特定して早めに緩和しましょう。
4.情緒不安定になる
僕たちは誰しも社会の中で何かしらの役割を持って生きています。役割があるというのは喜ばしいことなのですが、その役割があまりにも多すぎると、それもイライラの原因になります。
たとえば、40代・妻子持ち・課長職の人であれば、どんな役割があるでしょうか。よき上司・よき部下・よき同僚・よき隣人・よき友人・よき夫、よき父親…。自分が果たすべき役割が多いほど「すべての役を同時にこなすのは難しい」と感じるもの。
なんだか「自分の意志で生きていない」ような気がして、イライラするものです。
このように、怒りが招くものは「人間関係の悪化・集中力の低下・ミスの頻発物忘れ・体の不調・情緒不安定」とマイナスの要素ばかりです。イライラしたり、怒ったりしても何もいいことはないのです。
それでも僕たちがそうしてしまうのは、怒ることが習慣化しているからではないでしょうか。
特に「思い込み」の強い人は、自分の思い通りにならないことがある度にイライラしたり怒りを感じたりするため、その傾向が強いといえます。
怒りの前段階のイライラを「コントロールする技術」についてはこちらの記事をお読みください。
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。